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ACT1-(3)

小狐丸を連れて帰った咲良は、一軒家に到着した。
「………そう言えば小狐丸って、視える人にしか視えないの?」
「はい。視える人にしか視えません。」
「………じゃあ、視えない人には視えないのか………。
でも視えるようにはできるんだよね?」
「ええ、そうですが。
……それがどうかなされましたか?」
「小狐丸、ルールを設けるからそれを守ってね。
でないと、知らんぷりするから。」

咲良の設けたルールというのは単純なものだった。

@24時間365日そばにいてもいいが、
自身の悪口や陰口の類を言った者に斬りかからないこと。
A子供同士の喧嘩は
咲良から言ってこない限り、基本的には手を出さないこと。

「………………まぁ、大雑把に言えばこの2つのルールさえ守ってくれれば
それでいいかなぁ、的な。」
「主様の命とあれば、それを守るのが私の役目故。お気になさらず。」
「暴力にまで発展したら、さすがに止めてね。」
「はい。」
「関係性を疑われたら、保護者代理ってことにするから。」
「保護者代理ですか。」
「うん。………まあ、小狐丸って見た目に反して主様大好き感が満載だもん。」
「…………そうでしょうか?」
「鬱陶しいとかそういう意味で言ったわけじゃないからね!?真に受けないでね!?」
慌ててフォローする咲良に小狐丸はクスクスと笑った。
「では、そういうことにしておきましょうか。」
「(小狐丸が単純明快でよかった…………。)」

ホッと一息をついた咲良は一安心をした。



続く。

ACT1-(2)

「…………刀?凄い綺麗………。」
本殿の中に入った咲良は、鎮座している刀に触れた。
すると、刀が光り輝き、白髪に赤目の成人男性が姿を現した。
「……………え?」

「大きいけれど、小狐丸。いや、冗談ではなく。
まして偽物でもありません。
私が小、大きいけれど!!」


「えっと、小鳥遊咲良って言います………。
………………………小狐丸…………?」
「はい。貴女が私の主様ですか?」
「………は?主様?」
「ええ……………ですが、まず先にあれを斬らねばなりませんね。」
「…………あ、そうだった。あれに追いかけられていたんだ。」
「主様はそこでお待ちを。すぐに終わります故。」

そういうと小狐丸は本殿から出た。
それと同時に百目鬼のような何かが襲い掛かる。

小狐丸は鞘から太刀を抜くと、一太刀でそれを斬り捨てた。

「す、すごい…………。」
「主様の霊力があってこその力ゆえでございます。」
「…………何で私のことを主って呼ぶの?」
「貴女が私を目覚めさせたからですよ、主様。
ここに来る前、何かしらの前兆があったはずです。」

「………あ、そういえば狐が私をここまで案内してくれたの。」
「ほう。それはそれは。恐らく、ここにいた神の眷属だったのでしょう。
とは言っても、ここは寂れてしまった故、貴女を案内するのが精一杯だったみたいですが。」
「……………言っては悪いけど、ここ、廃れて結構時間が経つものね。」
「はい。」
「…………何で、ここにいたの?」
「私はずっと誰かを呼んでいました。そして、それに気づいたのが貴女だったのです。」
「……………へー…………。何か最強の御供って感じがするなぁ…………。
じゃあ、うちくる?パパもママも仕事で忙しいからほとんど家にいないし。
喋り相手がいるのは嬉しいことだし。」
「はい。主様のお好きなように。」


続く。

ACT1-(1)

小鳥遊咲良、11歳。
視えないものが視え、聴こえないものが聴こえると言った霊感を持っていること以外は
ごくごく普通の女子小学生であった。
ただそれを誰かに言ったことはなかった。
それを言えば、10割中9割は嘘つき呼ばわりするだろうし
残りの1割は専門の病院に行った方が良いと
言うだろうということで、誰にも言わずに生きてきたのだ。

とある日の午後。
学校帰りに図書館へ借りた本を返しに行った咲良は、いつものように帰路を歩いていた。
「……………。」

誰かが、自分をつけている。それもこの世のものではない。
「……………逃げるか。」

言うが早いか、咲良は駆け足で走り出した。
それに合わせて、自分をつけている者も、後を追いかけてくる。

「…………困ったな………この近辺に神社とかってないし………。」
走りながら、何処へ逃げようかと考えていた咲良の前に狐の神霊が現れた。

「…………!?」

咲良の前に現れた神霊はこっちへ来いと言わんばかりに、走っていく。
「…………ついて行った方がいいかもしれない。」
直感的にそう思った咲良は神霊の後をついていった。

舗装されている道が段々と、獣道になっていく。
住宅街から離れた先にあったのは寂れた神社であった。

「………うっわ、手入れのされていない神社!?でもここに何かあるんだよね………。」

鳥居にお辞儀をして、端を通った咲良は境内に入った。
ぜぇぜぇと息を切らしながら、彼女は後ろを振り向いた。

そこには、百目鬼のような何かが突っ立っていた。

「………うわぁ………距離が近い………。」
咲良は本殿の奥で何かが光るのを感じ取った。

「……………!」

咲良は数段しかない階段を登ると、本殿の扉を開けた。

そこには、1振りの刀が鎮座していた。






続く。

ACT14-(9)

私立聖ミカエル女学院高等部。
「姫宮さん、宮本さん。昨日の桜庭GC、凄かったよ。」
「ありがとー!」
「見てくれたんだ。」

いつものように登校して、
高等部の校舎に入るなり、2人は同級生や先輩から口々に桜庭GCのことを言われた。
「…………まぁ、そりゃテレビ中継されていれば当然だよね…………。」
「そうですねぇ。」
「…………でも後は真剣乱舞祭2017までは時間があるから、
何とかやっていけそうじゃないかな。」
「そうだね。公演も落ち着いたし、どちらかと言えば満月ちゃんが大変じゃない?」
「え?」
「だって清光の単騎出陣があるから。」
「……………そうだった。それを忘れていた。」
「お嬢様、ボケるにはまだ早いですよ。」
「……うわぁ、単騎出陣かぁ。今になって緊張してきた。
お客さん、入るかな?」
「そりゃ、入るだろうね。」
「…………芳樹さんと綾人お兄様達、毎日来るって言っているんだよ?」
「私だったら初日と千秋楽だけ来てほしいかなぁ。
一部変更があると言っても、同じ内容だし。」
「………………写真撮影OKだったら、絶対写真撮るよ……………。」
「満月ちゃん、休む暇ないねぇ。」
「……………ああ、1週間で良いから休みたい…………。」
「それは事務所と要相談ですね。」
「…………だよね。」
「でも、満月ちゃん。体丈夫じゃないから割と休みを取ろうと思えば、取れるんじゃない?」
「…………昔はそうだったけど今はどうかなぁ………。
事務所の社長も私に甘いからね。」
「じゃあ、物吉ちゃんの言う通り、事務所と要相談だね。」
「…………うん。そだね。」





続く。

責任をもって育てましょう。

「………ああ、これはピチューだね。」
「うちの病院に捨てられても困るんだけどなあ………。」

その日、病院の玄関口に段ボールの中に入ったピチュー達が発見された。
その数、8匹。

段ボールには『育ててください』と言う文字が書かれており捨てられたことが一目瞭然であった。

「どうします?」
「………小児科で預かってもらう?イーブイとラルトス、ミミッキュがいることだし。」
「いいかな?」
「ああ、良いですよ。ヒスイさんにピチューの取り扱い方、教わりますから。」
「すまんねぇ。」
「いえいえ、子供達も喜びますよ。」

そんなわけで、ピチュー達は小児科に預かってもらうことになった。

「うわあ、可愛い!!」
「ホントだ!」
「僕達で育てていいの!?」
「ええ、良いわよ。ただし、最後まで責任もって面倒を見ること!」
「はーい!」
ピチュー達はぽかんとした様子で子供達を見ていた。
「驚かせてごめんね、ピチュー達。この子達、ポケモンが好きなの。
貴方達を捨てたりはしないから、大丈夫よ。」
看護師の言葉に安心したのかピチュー達は互いに抱き着いたりして泣いた。
「あわわ、大丈夫!?」
「こういうところに捨てられたんだもんね、仕方がないよ!」
「泣きたい時は泣いちゃえ!」
よしよし、とピチュー達を抱きしめる子供達に看護師は逞しさを感じた。
「この仕事やってて良かったぁ…………。」


「…………よっくも病院にピチュー達を捨ててくれたわね…………。」

一方その頃、ヒスイはピチュー達を捨てたトレーナーをボコボコにした。
防犯カメラに一部始終が映っており、ヒスイは病院近辺を調べ、特定したのだ。
そしてボコボコにした後、ヒスイはトレーナーを警察に連れて行った。

「ああ、ヒスイちゃん。お疲れ様。ボコボコにしてくれてありがとうね。」
警察署から帰ってきたヒスイは看護部長の出迎えを受けた。
「で、やっぱり廃人だったのかい?」
「ええ、そうみたいです。
最初から育てられないなら、辞めればよかったのに。」
「そうだねえ。ポケモンも生きているからね。
でもまぁ小児科預かりになったし、子供達には人気みたいだし。
まぁ、いいんじゃないかな。」
「そうですね。責任もって育ててくれたらトレーナーとしても嬉しいですし。」

「うん。」



終わり。
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