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ACT1-(3)

ダイニングキッチンに移動した蒼氷は蒼星石の前に紅茶を用意した。

「こんなのしかないけれど、良ければどうぞ。」
「ありがとう、マスター。」

「でも不思議ね。こうしてみるとホントに人形じゃなくて人間みたい。」
「だけど球体関節人形ですよ?」
「そうなのよねー。」


テーブルの上に菓子が並べられ、蒼星石ははむっとケーキを口にした。
「……美味しい。」
「そう?作った甲斐があったわ。何しろおばあちゃんに家事全般を仕込まれたから。
特におばあちゃんは紅茶に五月蠅くてね。
………ねぇ、貴女はおおばあちゃんに螺子を回されてはいないの?」
「………はい、螺子を回されてはいないです。
眠っている間に人から人へ渡されて、マスターの元に来たみたいです。」
「………そう。螺子を回さなければ、目を覚ますことができないなんて辛いわね。」

「……そうですね。寝ている間はずっと夢を見続けますから。」
「……………あ、そうだ。ねぇ、蒼星石。」
「はい?」
「………せっかくなら、現代の日本を見ていかない?
今の時代と貴女が起きていた時代とじゃ、ジェネレーションギャップがあるだろうから
見ていて損はないわよ。」
「……はぁ…………。」

蒼氷がそう言った時、ガシャンと言う音がした。

「………今の音は?」

「物置部屋からだわ。おばあちゃんが使っていた部屋なんだけど、
大きな鏡があるの。」
「………鏡、まさか…………。その部屋へ連れて行ってくれませんか?」
「もちろんよ。」

蒼星石は蒼氷の案内で物置部屋に向かった。





続く。

ACT13-(5)

「お疲れ様でしたー!!」


千秋楽が無事に終わり、三百年の子守唄チームは打ち上げをした。
その中には芳樹と満月もいた。


「ああ、もう芳樹さんってば………お酒が入ると人が変わるんだから………。」
「うふふ……満月ちゃーん………。」

「………ホントがらりと変わるんですね……芳樹さん。
酔っても満月ちゃんのところに行くなんて。」
「………そういえば、芳樹は知っているんデスか?」
「……何を?」

「満月ちゃんが単騎出陣する話でスよ。」

「………え、何それ知らないんだけど。」
「でしょうネ。今知ったんでスから。」

「満月ちゃんは知ってたの!?」
「……えっと、まぁ、そう言う話が持ち上がっていて…………ぜひにと。」

「何で俺に一言も言わないの!?あや達も知らない!?ひょっとして!」

「……綾人お兄様達も多分知らないかと………。」


「………知ったら知ったで、大騒ぎになるんだろうな…………。
でもこれだけミュージカル刀剣乱舞が世間に広まったってことだよね………。」

春花の言葉にダンテ達はうんうん、と頷いた。


「もう、芳樹君ったら、拗ねないの。知らなかったぐらいで拗ねるなんて、
良い大人じゃないわよ?」

不知火の娘である智代の言葉に芳樹はうぐぅ、と唸る。


「…………毎日見に来てやる………。」

「………綾人お兄様達も同じこと言いますよ、きっと。」


「きっとじゃなくて間違いなく来るわよ、シスコンだもの。」
「………ですよね。」





続く。

ACT1-(6)

「………うっそ、臨時休業!?」

放課後になり、カフェミュウミュウへとやってきたリオンとクラスメイトは
店が臨時休業になっていることを知った。

「………ごめんね、櫻井さん。スイミングスクール欠席してもらってまで
来てもらったのに………。」

「いいよ、別に。店が臨時休業なら仕方がないよ。」
「じゃあ、また今度行こうよ。」
「うん。」

カフェミュウミュウでクラスメイトと別れたリオンはテクテクと公園を歩いた。

「………で、いつまでついてきてんの?」

「さすがに気付いたか。凄いな。」

「……初めまして、私は赤坂圭一郎と言います。」
「あ、どうも御叮嚀に。櫻井リオンです。」
「俺は白金稜だ。」
「で、2人とも私に何の用?シャチのDNAを打ち込んだ張本人さん?」


「お、勘が鋭いな。何処で気づいた?」
「気づくも何も、カフェミュウミュウって名前の時点で関係あると思っただけよ。」

「まあ、勘が鋭いなら回りくどいことはしないでいいな。………新手のエイリアンと出会っただろう?」


「…………ええ、出会ったわ。」
リオンはそう言うと稜と圭一郎にショコラとバニラのことを話した。




「…………なるほど、キッシュ達と同郷のエイリアンか。
ディーププルーの消滅を知って自分達が地球を支配しようとしているわけか。」

「らしいわね。6人のミュウミュウに倒されたって言っていたけど?」
「正確には5人のミュウミュウだけどな。6人目はちょっとワケありで、参加していない。」
「なるほどね。………で、私にどうしろと?」


「このまま、ショコラとバニラと言うエイリアンと戦え。」

「………要するにボランティア活動をしろってことね。」
「ボランティア活動が嫌なら、ウェイトレスをしてもいいんだぜ?」
「お断りよ。私が水泳選手だってことは知っているでしょ?
忙しいもの。だからボランティア活動になるって。」

「水泳なんて、いつでもできるだろう?」
「そういう考え方って嫌いなのよね。せっかく良い意味での力も貰ったんだし、有効活用しないと。
………今度はこっちからの質問。何でシャチのDNAを打ち込んだの?」

「適性が高かったのが、シャチだったんだ。」

「………あ、なる。
とにかく、ショコラとバニラについては私の方で片づけるわ。
取りこぼしがないかは他のミュウミュウに任せるとしてもね。」
「1人で戦う気か?」

「必要になったら、声をかけるわよ。またカフェミュウミュウに足を運ぶから。」

それだけ言うと、リオンはその場を後にした。



「……気が強いな………。」
「まったくですね。」





続く。
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