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ACT14-(4)

「さて、と。買い物も済ませたし、後はお昼を食べるだけね。
そろそろ、芳樹君達とも合流できそうだし。」
「そうですね。」

デパートの専門店を回ったジャンヌと満月は中央の広場が騒がしいことに気づいた。

「あら、何かしら?」

「おら、大人しくしろ!これが見えないのか!?」
銃を持った男達6人が、妊婦を人質に取って騒いでいた。


悲鳴と怒声が行き交う中、ジャンヌは太鼓鐘と物吉に指示を出した。


「2人とも、妊婦さんを解放させてあげて。」

「……はっ。」
「正当防衛ってことで良いんだよな、奥様。」
「ええ、正当防衛の範囲内で仕留めてちょうだい。」

太鼓鐘と物吉は指をポキポキと鳴らすと、犯人達の元に向かった。

「何だ?」
「ガキが2人、何の用だ!?」
「物ちゃん、妊婦さんを頼むな。」
「はい。男の方はお願いしますね。」

「あ?何の話をしてやが………ぐほぉ!?」

男の話を最後まで聞かず、太鼓鐘は男の顔面に蹴りを入れ、物吉は妊婦を保護した。

「すみませんが、正当防衛ということで貴方達を仕留めさせていただきます。」
「銃刀法違反と不法侵入とテロ未遂で、現行犯逮捕だな。」

そういうと太鼓鐘と物吉は残る5人をあっという間に仕留めていった。


「………わぉ、物吉も太鼓鐘もやるぅ。」

「一応、訓練は受けていますからね。元々は綿貫と姫宮を守るために会得したのですから。」

「ひ、姫宮と綿貫だと………!?じゃあ、こいつらが噂の守り刀か………!?」

「ええ、あ。銃は回収してね、危ないから。」
「安全装置つけておきますねー。」


その後、通報を受けた警察が到着し、男達は現行犯逮捕された。


「…………いやぁ、ありがとうございます。要人警護を主とする守り刀に現行犯逮捕して貰って助かりました。」
「でも、相手を刺激するのだけはやめてくださいよ。
今回は銃を発砲しなかったから良かったものの、一般人がたくさんいたんですから。」

「ごめんなさいねぇ。妊婦さんが人質に取られたものだから、ついカッとなっちゃったわ。」

「………………………。」


「あ、あの、すみません、助けてくれてありがとうございました!!」

「いいのよ、最近少子高齢化が進んでいるのだから、元気な赤ちゃんを産んでね。」

「話をそらさないでください!!」

「………お母様が申し訳ありません…………。」



続く。

ACT1-(5)

「………とりあえず、情報収集するか。」
「そだな。」
「はい。」

3人は近くのお好み焼き屋に入ることにした。


「あんちゃん達、すげぇな。憑いてる巧断が特級だなんて。」

一部始終を見ていたお好み焼き屋の店員が、3人に話しかけてきた。

「そりゃどうも。特級というと階級の1番上だよな?」
「変なこと聞くけどまぁいいか。
そうだぜ、巧断は1番上が特級で1番下が4級なんだ。
階級制度はとっくの昔に廃止されているけど、
阪神共和国の連中はまだ階級を使っているんだ。」
「へぇ、そうなんだ。それにしてもあいつら、警察が来るのが面倒なら
縄張り争いしなければいいのに。」
「ああ、ノボルとトウコのことか。
あいつら、特級の巧断が憑いているからってやりたい放題しやがって。」
「へぇ、じゃあ警察からは悪い奴として認識されているのか?」
「ああ、そうだよ。
必要最低限のルールは守っているがな。」
「2人だけなんですか?
縄張りを巡って争っているのは。」
「昔はトウヤが居てくれたからなぁ………。」
「トウヤ?」
「ああ、トウコの双子の兄貴さ。特級の巧断を持っていたんだが、急に行方知らずになってな………。
ノボルとトウコとトウヤの3人は幼馴染でな。
意見が対立する2人をトウヤがいつも宥めていたんだ。」
「………なるほどなぁ。
1つ聞きたいんだが、最近巧断が消失しているんだって?」
「………ああ、そうさ。
トウヤが行方知らずになってから、起きるようになってな。
最初は4級の巧断から消えてな、今じゃ3級も消え始めているんだ。
巧断は階級があがるほど、心の強い持ち主になるから特級や1級が消えることはないんだが………。
言うなれば巧断は一心同体、自分の分身みたいなものだからな。
急に消失したら不安定になるのも無理はないよ。」

「……消失した巧断は戻ってこないんですか?」

「今のところは聞かないねぇ。」
「…………そうか。」


「ほい、お好み焼きができたよ。熱いから気をつけな。」

「ありがとうございます、おじ様。」


店員がカウンターに戻った後、3人はお好み焼きを頬張りながら今後どうするかを考えた。
「………あの2人が幼馴染だってのは驚いたな。」
「トウヤという人間が行方知らずになってから、巧断の消失が始まった………。
グレーゾーンというか、怪しさ満載だな。」
「そうですね……………。」

「…………何を思って急にトウヤは消えたんだろうな。」


続く。
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