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ACT1-(5)

…………ゆらゆらと海洋の中を泳いでいる。
「………………………あれ、何か気持ちいいかも…………。」
夢の中でリオンはシャチと共に海洋を泳いでいた。

「…………………………って、まさかの夢?」

高級マンションの一室で、リオンは目を覚ますとガクッと項垂れた。

朝食を作り、椅子に座ったリオンはご飯を口にした。

「………はぁ、それにしても昨日は災難だったな…………。
ミュウミュウってこの間、テレビで話題になっていたよね………。
猫耳生やした子とか、ウサギ耳?生やした子とか。
………そう言ったのと同じ、なんだよね。私も。
………っては、まさかミュウミュウって動物と合体した子が変身したとか!?」

思わずご飯を零しそうになったが、リオンは合点が言った。

「…………そうだよ、私の中にシャチが入っているってことはさ…………。
シャチの力を手に入れたってことになるんじゃ……………。
………いや、でもそれなら事故に遭った私がここまで回復できたのにも合点がいくというか…………。」

朝食を食べ終え、食器を片付け、歯磨きをしたリオンは鍵をかけると登校することにした。




「………………まぁ、何にしてもだ。今の状況をまとめると、
あのショコラとバニラはエイリアンの親玉に仕えていたけど、6人のミュウミュウに倒されたから
反旗を翻したんじゃないかな…………。
で、キッシュとタルトとパイの3人のエイリアンが人間にほだされたっていうから、
多分2人は彼ら?彼女ら?と和解していないってことになるんじゃないかなあ…………。
あ、頭が痛くなりそう……………。」


「あ、おはよう、櫻井さん!」
「…………あ、おはよう。」

クラスメイトに声をかけられて、リオンはビクッとなった。

「どうしたの?」
「あ、ううん。何でもない。今日も良い天気だなぁ、と。」
「そうだよねぇ。あ、ところで櫻井さん。カフェミュウミュウに行かない?」

「…………カフェミュウミュウ?」
「ケーキが美味しいの。店員さん達ももう可愛くってさぁ!」

「へー。」

「…………で?どうする?行く?」
「行こうかな。」

「やった、じゃあ放課後にね!!」

そう言うとクラスメイトはパタパタと駆けて行った。


「………………カフェミュウミュウかぁ…………。
もしかしたら、関係あるのかもねえ………。」



続く。

ACT1-(4)

リオンがミュウミュウに変身すると、ショコラとバニラは驚いた。
「まさか、こいつがミュウミュウ!?」
「ディープブルー様を倒したって言う連中は6人いたって言うけど………。」
「まぁいいや、どのみち1人ならどうってことないね。
……やっておしまい、キメラアニマ!!」

ネコ型のキメラアニマはリオンめがけて襲い掛かってきた。
「事故でシャチが体の中に入ってくるわ、妙なのに変身するわでわけわからないんだけど…………。
そうも言っていられないよね………!!」

キメラアニマの攻撃をかわしたリオンは、手を宙にかざした。

「リオタンバリン!!」

星型のタンバリンが手にすっぽりと収まり、リオンはそれを振った。

きらめく流星群のように、エネルギーの塊がキメラアニマにぶつかる。

エネルギーの塊を受けて、キメラアニマは後退する。

「よし、これで決めれば………!!」

そういうとリオンはタンバリンをパンパン、と叩いた。

「リボーンリオンスプラッシュ!!」


2種類のエネルギーが螺旋を描きながら、キメラアニマに大ダメ―ジを与えた。

パラサイトアニマが切り離され、キメラアニマは元の猫に戻った。


「………っち、1人だと思って慢心していたらこのざまかい。」
「まあいいさ。6人じゃない分、こいつはいつでも倒せる!!」

それだけ言うとショコラとバニラはその場から逃走した。

「………キメラアニマ…………ショコラにバニラ………。
それに6人のミュウミュウっていったい…………?」

変身を解いたリオンの耳にファンファンとサイレンの鳴り響く音が聞こえた。

「げ、今の戦闘で誰かが通報したのかな!?
に、逃げなきゃ……!!」

倒れている女性の脈を確認し、気絶しているだけで命に別状はないと
判断したリオンは路地裏から逃げることにした。


「もう、ついていないなぁ……!私はただ水泳をしていたいだけなのにぃ〜〜!!」




続く。

ACT1-(3)

リオンが路地裏に向かうと、1人の女性がアスファルトの道路に倒れていた。
そして、民家の屋根には尖った耳を持つ2人の女性が立っていた。

「………誰!?」
「私はショコラ。」
「私はバニラ。」

「この地球を侵略するためにやってきたエイリアンさ。」
「エイリアン………?」
「ディーププルー様も大したことなかったね。結局は人間の愛とやらにほだされちゃって。」
「キッシュもタルトもパイも、大したことなかったよ。
忌々しい人間と和解して、何がエイリアンだ。」

「………どういうこと?」

「ああ、お前には関係のない話さ。」

「どうせここで死ぬんだから。」
「いやいや、勝手に殺さないでくれる?私にはやらなきゃならないことがあるんだから。
それをしないまま終わるなんて、天国にいる父さんと母さんに何て言われるか。」

リオンがそう言った時、掌にすっぽり収まるほどの金色のアイテムが現れた。
「…………え、何これ?」

初めて目にするアイテムにリオンが戸惑っていると、ショコラとバニラはキメラアニマを
生み出すパラサイトアニマを、近くにいた猫に憑依させた。


「………って、ええ!?」

凶暴な叫び声を出すキメラアニマに、リオンは目が点になった。


「…………ああ、もうこれって私がどうにかするしかないの!?」


手にした金色に輝くアイテムをリオンは空にかざした。


「ミュウミュウリオン、メタモルフォーゼ!!」




続く。


ACT13-(4)

三百年の子守唄も、舞台は順調に進み、ついに千秋楽を迎えた。


「…………やっとここまで来たんだね……………。」
「まあ、ここまでくれば後は気合を入れてどうにかするだけデす。
肩の力を抜いていきまショう。」
「あ、はい。ダンテさん!」

舞台裏で円陣を組み、千秋楽を迎える春花達は気合を入れた。


一方、観客席では翡翠と瑠璃が席を探していた。

「やっと見に来ることができたね、千秋楽。」
「…………うん。」

「あれ、海堂さん?」
「…………あれ、姫宮さん?」

観客席に着いた翡翠と瑠璃はチケットに書かれた席の番号を見た。

「ひょっとして、お隣さん?」
「私と芳樹さん達はこの席なんだけど……………。」
「うわ、滅茶苦茶ラッキー!」
「…………翡翠、五月蠅い。」
「………あ、ごめん。瑠璃。」


「君らがミカ女に転入してきた双子ちゃん?」
「あ、はい!海堂翡翠って言います。」
「……海堂瑠璃と言います。綿貫さんの噂はかねがね聞いています。」
「あはは、嬉しいね。今日はよろしく頼むよ。」
「は、はい!」
「…………よろしくお願いします。」




続く。

ACT1-(2)

スイミングスクールで練習をするリオンを見ていた生徒達はヒソヒソと話をした。

「………ホントに回復するなんて信じられない………。」
「………何ていうか、ホント化け物って感じよね…………。」

「こらそこ、何ヒソヒソと話をしているんだ!?」

翠山拓哉に叱責され、生徒達はプールに飛び込んでいった。

「まったく、バケモンだとか言いやがって………奇跡と言えば良いのに。」
「まぁ、自分にはない才能を持っていると、ああも言いたくなるんでしょうな。」
オーナーの言葉に、拓哉はそうですな、と言った。

「しかしだからと言って努力を怠るのはよろしくない。
先日のジュニア水泳大会だって優勝できたのは努力の賜物だと思っています。」
「櫻井さんは水泳しか能がないと言っていましたからなぁ………。」
「………ええ、本当に。」

すっかり日が暮れ、スイミングスクールを後にしたリオンは帰り道を歩いていた。

「はぁ…………父さんも母さんも死んで、私だけが生き残って。
……………何ていうか、まだ実感が沸かないなぁ…………。」

悪質なドライバーが引き起こした交通事故で両親は他界し、自分だけが生き残った現実。
自分にできることと言えば、水泳大会に出場して記録を残すことぐらい。

「…………でも事故が起きた後に発生した光………何だったんだろう。」


黒煙と炎が入り混じる狭い空間の中でリオンは信じられないものを見た。
海に生息しているはずの生物……シャチが自分の中に入ってくるという光景。

「…………でも、あの光景もあったせいで私は回復することができた。
………何だったんだろう?」

素朴な疑問を考えながら、リオンは帰路に着こうとしたその時。
きゃああという悲鳴が聞こえた。

「!?」


路地裏から聞こえたらしく、リオンはそこに向かった。




続く。
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