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ACT2-(4)

「………ラヴクラフト?確か、ゲーム会社の社長じゃなかったかな?」

「引きこもりのくせにPMWのゲームシステムを1人で作りあげたから凄いよな。」


「呼吸器関連の疾患を持っているとか。
それがきっかけで引きこもりになったとかどうとかって言う話らしいぜ。
俺達が知っているのはそれぐらいかな?」




「…………以上がラヴクラフトに関する情報だ。
ゲーム会社の社長だから収入はそこそこあったらしい。
後は呼吸器関連の疾患を持っているとかで、専門医へ定期的に受診をしているとか何とか。」
「社会とは完全に孤立しているわけじゃないんですね。」
「ただ、外の空気を吸うのが嫌だからあまり出たがらなくて専門医も往診をしていたらしい。」
「……いや、外に出ろよ。これだから引きこもりの考えって言うのはよくわからん。」
「うん。……それに彼女さんにフラれたぐらいで凹むなんてどういう神経しているのかな?
最初で最後の彼女ってわけじゃないんだし。」
「………ちなみにこれが、現在のラヴクラフトの写真だ。」
ほれ、とデータをモニターに映すと肥満体型の男性が写し出された。
「………ぜってぇモテないな。」
「………新しい恋人作るのも無理はないかも………。」

「…………ちなみに満月ちゃん、もし芳樹が太ったらどうする?」
「ダイエットさせます。適切な食事と適切な運動をさせますね。」
「満月ちゃんは俺に対しては優しいからな。」
「ドヤるな、そこで。
じゃあ、満月ちゃんが太ったらどうするんだ?」
「それこそ適切な食事と適切な運動をさせるね。」

「この相思相愛カップル、どうにかできないのか?」
「まあ、人様に迷惑をかけなければそれで良いんじゃないの?
別に、他人に対して喧嘩売っているってわけじゃないし。」
「………お前、順応力高いなぁ………。」
「ミカ女にはいろんな性格の人達がいるからねぇ。」

「え、何?そういう問題?」

「幸太君、順応力を高めた方がいいよ。視野が広くなるから。」
「そうそう、適応力は大事だぜ。何事も広範囲に適応しなくちゃやっていけないからな。」
「…………が、頑張るっス…………。
…………で、肝心のラヴクラフトはどうやって探すんですか?」
「何、PMWには検索機能があるからな。それを使えば良いだけの話だ。」

「え!?検索機能!?」
「そんなのあったの!?」

「本来なら特殊な条件を満たさないと使えないみたいだが、今回は特別だ。
ラヴクラフトのデータを登録さえすれば現在位置を特定することができる。
ただ、膨大な量の中から個人情報を探しだすからな。
多少は時間がかかるのが難点だ。」

「ポケモンボックスの検索機能!?」
「便利な機能があるならもっと早く言って欲しかった!公式!」

「だから、本来なら特殊な条件を満たさないと使えないんだって。」
「よーし、探すぞ。」

続く。

ACT2-(3)

「…………………しっかし、何の手掛かりもないっていうのが怖いな。」
「今のところはね。…………無意味にクエストをこなしても、仕方がない。」


「………2人とも、ボロボロにならずに上級クエストのモンスターを倒すなんて凄い……。」
「芳樹さんはわかるけど、智久さんは諜報員だろ!?
何処をどうやったら、モンスターをあっさり倒せるんだ!?」

ぐったりと倒れる竜種のモンスターをぺちぺちと叩く、智久と芳樹を見て
幸太と律は突っ込んだ。

「満月ちゃんのサポートがあったからなあ。」
「いやあ、魔女って戦う以外にもサポートができるんですね。勉強になります。」
「……………まぁ、確かに魔女は魔法をメインウェポンとしているから、
どちらかと言えばサポート要員なんだけど………何かえげつないよね…………。」
「お嬢様、サポートが得意ですからね。」

ニコニコと笑う物吉に律は、そっかぁ………と頷いた。

「このエリアにいるモンスターはサポートがあっても結構厳しいとこなんだけど…………。」
「まぁ何ていうかあれだな、経験の差って奴だ。」

「………経験の差?」
「でも現実世界で戦うことってないですよね?」

「そりゃそうだろうな。普通はな。」
「普通ではないからね、俺達は。」
「?」
「それってどういうことですか?」
「細かいことは内緒って奴です。知らぬが仏、って言う言葉があるように
内緒にしておいた方が幸せな時もありますから。」


「さーて、と。とりあえず聞き込みをするか。」

「そうですね。ラヴクラフトに関する情報を集めましょうか。」

「……は、はい!」

続く。

ACT13-(3)

「……………はぁ、疲れた……。」
桜庭市営文化ホールでの稽古を終え、春花は自宅に帰った。
「お帰り、春花。」
「ただいま、夏輝。」
双子の弟である夏輝に声をかけられて、春花は腕を伸ばした。
「はー、満月ちゃんが大変だってこと、わかった気がするー。」
「姫宮さんに次いで、春花も刀剣男士やることになったもんな。」
「うん。」
「あら、お帰り。春花。稽古はどうだった?」
玄関に母親の秋穂が現れ、春花に声をかけた。
「疲れたよ、さすが皆体力だけはあるって感じで。」
「頑張りなさいね、春花。せっかく手にした大役だもの。」
「うん。脚本を読ませてもらったけど、泣いちゃった。」
「そうなのか?俺も読みたいなー。」
「残念、それは舞台を観てのお楽しみにしてよね。」
「ケチ。」
「ケチで結構。」
「はいはい、夕飯ができていますよ。」
「あ、はーい。」


一方、同時刻。

「……………はあ、紅一点じゃなくなったのか。」
「春花ちゃんは良い子だよ。飲み込みは早いし、演技も悪くない。」
綿貫家の別邸で、祐一は芳樹と共に飲んでいた。
「……………それに他のメンバ―も結構癖があるね。
ダンテなんか、凄いよ。役にピッタリだ。」
「ああ、確か恵まれた環境で育ったんだっけな。」
「そうだよ。だから、私も負けてはいられないね。」
「………………そっかあ。」
「今回の衣裳制作には私も関わっているからね。満月ちゃんのお手伝いが出来て光栄だよ。」

満月と共にキッチンに立っていた千春が、つまみを持ってきた。


「今回から千春さんも参加するんだっけね。」
「まぁね。元々手先が器用なだけだし、満月ちゃんのサブ的なことができればと思って。
何せ、姫宮家のお嬢様は無理をするとすぐ倒れちゃうし。」
「あはは………。」

「そう言った面では助かるよ、千春さん。」
「どういたしまして。これぐらいお安い御用さ。」


続く。
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