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ACT14-(2)

その日は休日と言うこともあり、満月はジャンヌと共に桜庭デパートに向かった。
「満月との買い物は久しぶりねぇ。」
「そうですね、お母様。」
「物ちゃん、元気そうでなによりだぜ。」
「太鼓鐘も元気で嬉しいです。」


同じ貞宗派の守り刀である太鼓鐘貞宗と久しぶりに再会した物吉は何処か嬉しそうな顔をしていた。

「満月、芳樹君とはうまくいっている?喧嘩とかしていない?」

「うまくいっていますよ、お母様。喧嘩はしていません。」
「それならいいんだけど、貴女は綿貫家に嫁ぐ身ですからね。
浮気とかしたらダメよ?」
「しませんって。」

満月の返答にジャンヌは、うふふと笑った。

「貴女が良い子に育ってくれて良かったわ。
姫宮家の子供を欲しがる輩は日本だけじゃなくて世界にもいますからね。」
「男しか生まれない姫宮家のことを殿宮に改名した方がいいんじゃないかって言っていた方々が
私が生まれた途端に掌返しをするなんてどうかと思いますけどね。」

「でも、16歳の誕生日の時に婚約お披露目会をしてよかったわね。」
「そうですね。」
「………はい。私は幸せものです。芳樹さんという素敵な婚約者と結婚できることが。」

「………満月、ごめんなさいねぇ。」
「………え?何でですか?」
「貴女ぐらいの年頃の子だったら、自由恋愛させるべきなんでしょうけど
私達親の身勝手な都合で振り回されて、生まれる前から男性用の贈呈品として
嫁ぐことを定められていたんですもの。恨むこともあったでしょうに。」


「……お母様、それは言わない約束です。
芳樹さんは私のことをきちんと愛してくれていますし、不平不満が出ないように
色々と動いてくれていますから。
恨む、という気持ちは私にはありませんよ。」

満月の言葉にジャンヌはぽかん、としたがうふふと笑った。

「良い子に育ってくれて良かった。
私の教育が間違っていないみたいで安心したわ。」

「お母様…………。」




「………いらっしゃいませ、姫宮様。」
2列になり、深々と頭を下げる社員達の間を通り過ぎながらジャンヌ達は家電製品コーナーに向かった。

「これはこれは姫宮様、ようこそおいでくださいました。」
「あら、オーナー。お久しぶりですわ。」
「本日はどのようなご用件で?」
「炊飯器と冷蔵庫と洗濯機がそろそろ買い替え時だと思ってこちらに来たの。
ここは品質のいい家電製品が良いお値段で販売されていますからね。」
「勿体ないお言葉、ありがとうございます。
それはそうでしょうな。満月お嬢様が生まれてから1度も買い替えをされていないですから、
そろそろ寿命でしょう?」
「ええ。そろそろ寿命ね。」

オーナーと話をするジャンヌの後ろ姿を見た太鼓鐘は満月を見た。

「満月お嬢様は何か買うのか?」
「うん、芳樹さんから頼まれたものを買うの。
私の目に狂いはないからってことで任されたから。」

「そっか。じゃあ、満月お嬢様のお眼鏡にかなうものが見つかるといいな。」
「そうですねぇ。」



続く。
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