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ACT2-(1)

「だー、ちきしょう!どうして勝てないんだ!?」
「だから、思考がワンパターン化しているから読みやすいんだってば。」

いつものように、試練の挑戦をしにきたタクマにヒロキはそう言った。

「まったく、いい加減戦術変えたらどうだ?」
「五月蠅い。俺には俺の戦術があるんだ。猪突猛進で結構だよ。」

「自分では言わないんだけどなぁ……………。」

ユキメノコとグレイシアをなでなでしながら、ヒロキはタクマに言った。

「…………………ところでさ、お前。新年の初夢見たか?」
「見たよ。サクラと一緒にデートする夢だった。実現させるけどな。」
「何をぅ!?どちくしょう、俺なんて女の子にフラれまくる夢だったんだぞ。」

「いや、知るかよ。お前の性格じゃ彼女できないだろ、一生。」

「一生とか言うなよ、最悪だな!」


「………そういえば、悪夢と言ったらダークライって知っているかしら?」

にょき、と出てきたミツキにタクマは悲鳴をあげそうになった。

「ダークライって悪夢を見せるポケモンですよね?
でも自分の身を守るためにやっているのに、誤解されて可哀想な奴って思っているんですけど。」
「アブソルだって災いを知らせにきただけなのに、災いを呼ぶ不運なポケモンだよなぁ。
風評被害って奴?」

「………実はね、ハラさんから連絡があったのよ。
どうもこの地方にダークライが来ているみたいで。」

「…………何で?ダークライって言ったらフツー、シンオウ地方じゃないですか?」
「それはダークライに聞いてみないとわからないわよ。
で、とりあえずキャプテンやしまキング、しまクイーンに声をかけて
探してもらっているんだけど、見つからなくて。」

「探してどうするんですか?」
「人々に誤解される前に保護しようって話なのよ。」

「なるほど。」
「………なら、サクラにも声をかけないとな。シンオウ地方じゃ、
クレセリアのみかづきのはねで、ダークライの悪夢を追い払ったらしいから。」

「………え、サクラ、クレセリア持っているのか?」
「持っているよ?」

「………でも相性的にクレセリアの方が分悪くないか?」
「そこはほら、長年の経験がものを言うんだよ、タクマ。」


「……………そうか?」
「そうだよ。」


続く。

ACT1-(9)


…………そして。夜21時を過ぎ。

「さて、オドシシよ。体調は大丈夫かのぅ?」

男性………サンタクロースの言葉に、オドシシはすっかり元気になった声で鳴いた。

「そうかそうか。後であの3人にはお礼をしないとなぁ。
こおりタイプのキャプテンとエスパータイプのキャプテンに声をかけて貰わなかったら、
ホントに困ったところだったぞ。」

ソリに乗ったサンタクロースは手綱を握ると、ハイヤァ!と叫んだ。


……………次の日。

「お、おわぁぁぁああ!!」

「…………どうしたんだヒロキ。」
「父さん、母さん、このプレゼント、どうしたの!?」

「あ、いや………サンタさんから贈られてきたのよ。」
「お前が寝た後、インターホンが鳴って扉を開けたらサンタクロースですって言って、
これをヒロキに渡してくれって頼まれたんだ。」

「叩き起こしましょうか?って言ったんだけど、サンタさん忙しいからいいですって。」
「えー、お礼を言いたかったのになあ…………。」



「でもサンタさんってホントにいたのね………。」
「ああ、吃驚したよ。………サンタさんに何かしたのか?」

「あー……ちょっとオドシシが体調不良なのを見ただけなんだけど。………タクマが。」
「あら、そうなの?」
「うん。でも俺、何もしていない。」

「だけど、声はかけたんでしょう?良かったじゃない。」


「………ああ、ヒロキは良いことをしていたからな。
後でサクラちゃんに電話をしたらどうだい?
さっき、うちに電話かかってきたよ。」

「ええ、マジで!?うわすぐに電話しなくちゃ!!」


そういうとヒロキはポケギアを探しに部屋に戻った。


続く。

ACT1-(8)

「…………はー、食った食った。」
「美味しかったね、レストランのスペシャルメニュー。」
「………俺、邪魔してよかったのか?」
「仕方がないだろ、お前、俺達の写真撮ってこいって父さんと母さんに頼まれたんだろ?
写真撮影が趣味なんだし。」
「ほのおタイプの使い手らしく熱血漢で猪突猛進なのに、意外に腕とセンスがいいんだから。」
「何だとー!?」

レストランを後にした3人はホカホカとした様子で外に出た。


「………あ、雪。」
「冬だから仕方がないよな。」
「道理で冷えるわけだよ。………ホッカイロあったかな。ほい、サクラ。」
「あら、ありがとう。タクマ。」
「俺にはー?」
「てめぇは寒さに強いだろ!?こおりタイプの使い手なんだから!」
「うわあ、冷たいなあ。
ほのおタイプの使い手のくせに。」
「うるせぇ!」



「……………………ってあれ?」
「サクラ、どうしたの?」
「どうかしたのか?」

「あそこ、オドシシがいるわ。」
「………あ、ホントだ。」
「アローラには生息していないよな。」

パタパタと3人が駆け寄ると、1人の男性が困ったような顔をしていた。
「どうかしたんですか?」
「いやぁ、稼ぎ時だと言うのにワシのオドシシが体調を悪くしてな。
医者に見せようにも、もうしまっておるしのぅ………。」
「……ちょいと良いですか?……ああ、これただの風邪ですね。」

タクマはそういうと、鞄からポケモン用の薬を出した。

「これ、飲ませてやってください。元気になります。」
「おお、助かるな。お前さん、医者なのかい?」
「……あ、いや。親父がポケモンドクターでたまに手伝わされるんですよ。」

タクマから薬を受け取った男性はオドシシに、それを飲ませた。


薬の成分が効いたのか、オドシシはみるみるうちに回復した。

「おぉ、良かったな。オドシシ。」

「あくまでも応急処置なんで、今日は持ちますけど念のため明日、病院に連れて行ってください。
で、医者にこの薬を飲ませましたって。」

サラサラ、と紙に薬の中身を書いたタクマは男性に渡した。
「すまんなぁ。お礼をしたいんじゃが、多忙の身なんもんでな。
後で送るよ。」

「あ、いえいえ。そんな、ただ困った人は助けるようにって言われただけなので。」

「やるじゃん、タクマ。」
「そうね。さすがポケモンドクターの子供だわ。」
「うるせぇ、ヒロキにサクラ!恥ずかしいからやめろってんだ!」

「ホントにありがとう。タクマ君。」




続く。

ACT1-(7)

「ひゃぁ、いつ来てもコニコシティは賑わっているなぁ。」
「ホントに………。」
ウラウラ島からアーカラ島にやってきたヒロキとサクラは、デートを楽しんでいた。

「………ヒロキ、ありがとね。デートに誘ってくれて。」
「そんな俺こそとんでもない。前は遠距離恋愛をしていたからね。」

「…………うん。」

「……………でさ、タクマ。何でお前がここにきているんだよ?」
「仕方がないだろ、お前らの写真を撮ってきてくれって頼まれたんだから。
内緒で尾行したら、返り討ちに遭うのわかっているんだしさ。
それなら最初から堂々としていた方がいいだろ?
………その、デートの邪魔をするのは申し訳ないけど。」
「………ホントに。ミツキさんとヨシキさんは子煩悩っていうか、親馬鹿なんだから。」
「…………いや、ホントにそう思うわ。子供の写真撮るなら自分達が行けばいいだろ?って。」

「甘いな、タクマ。父さんと母さんは2人きりになるとめちゃくちゃイチャつくんだ。」

「………そうかよ。」
「それよか、ここにはしまクイーンのライチさんがいるんだよ。
挨拶しに行っても大丈夫?」
「うん、私も挨拶しようかと思っていたから大丈夫だよ。」

「……へぇ、しまクイーンのライチさんか。どんな人なんだ?」


「………おや、ヒロキにサクラじゃないか。それにそこの子は………タクマって言うのかい?」

タクマがヒロキにライチについて聞こうとした時、当の本人がやってきた。

「あ、ライチさん!」
「こんにちは!」

「あ、はい。俺、タクマって言いますけど……何で知っているんだ?」
「ハラさんから聞いているんだよ。
毎度毎度、こおりタイプの使い手であるキャプテンに勝負を挑んではぼろ負けしている挑戦者がいるって。」

「………おいおい、ハラさん………そんなことを言っていたのか………。」

「まあ、外れてはいないな。」
「確かにね。的中しているもの。」


「何だとー!?」



続く。

ACT1-(6)

「…………あっと、電話だ。」
ラナキラマウンテンに到着したヒロキはポケギアから電話を受け取った。

「………もしもし。ヒロキです。」
『………あ、ヒロキ?』
「………サクラ?どうしたの?」

ヒロキに電話をかけたのはエスパータイプの使い手で、キャプテンに任命されたばかりの
サクラであった。

『………あのさ、明日ヒマ?』
「予定は入っていないけど、どうしたの?
…………ってあ、もしかしてデートしたい?」
『……え、うん、まぁ、そんなところ。』
「わかった、いいよ。明日、クリスマスだもんね。
今日中にプラン作っておくから、楽しみにしててよ。」

『………うん。ありがと。じゃあね。』
それだけ言うと、サクラは電話を切った。

「………おい、お前………引っ越してきたばかりなのに彼女いるのか………?」
「あ、サクラは先にアローラに引っ越して行ったんだよ。
で、エスパータイプのキャプテンがいなかったから、キャプテンを任されることになったっていうか……。」
「………………このリア充が………大爆発でも起こしてろ。」

「何でそうなるんだよ!?」
「会話からして可愛い子ちゃんだろ、そのサクラって子は!!」
「確かにサクラは可愛い子ちゃんだよ。」

「………こんのリア充………ガチで滅びてしまえ………。」
「………ああ、もうタクマは面倒くさいな!!」



続く。
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