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ACT1-(3)

「アーヘンはね、アルトリウスが治めていた国だったの。
復讐の魔女、モルガナがアーヘンを憎み、策略で国家を転覆させようと謀ったけど
モルガナの娘にしてアルトリウスの姪、モルドレッドが
モルガナ自身から「産みたくて産んだんじゃない」と言われながらも、
彼女の復讐を果たすためだけの道具として扱われる日々に
いつしか自分を人間として扱われたいと願うようになった。
騎士として成長し、モルガナによってアーヘンに送り込まれるも
自然豊かな土地と活気溢れた国民を見て心境に変化が置き、
アルトリウスに出逢って人柄に触れてみたいと思うようになった。
ふとしたことから彼女と街中で出会い、自分の素性を話した。
両親と死に別れただけでなく、
病気で子供を産む事ができないアルトリウスにとって、
半分だけとはいえ血の繋がっている家族が
現れたことはとても嬉しかったらしく、
自分の子供として認知し、受け入れられることになった。
しかし、モルガナの実子というだけで
不信な目で見る関係者を黙らせるため、アルトリウスは
常時監視をつけさせることをすまなさそうに提案したが
モルドレッドは自身を家族として認知してくれたことと
子供として受け入れてくれただけでも嬉しいと述べた上で
その提案を受け入れた。
後にモルガナが敵軍を率いて攻め込んできた際には
アルトリウスから自陣の防衛を任される。
余命僅かな病持ちの体にムチを打って戦場に出るアルトリウスに対して、
モルガナは実母は自分が討つ、と進言するが
…………貴女は私の大事な子供。
私はこの命よりも大事なアーヘンの防衛を貴女に任せます。
貴女が自然豊かな土地と活気溢れる国民を見て、感化したことは
私にとってとても喜ばしいことなの。
と諭されて、国の防衛に徹した。
実際には道具として扱われてきた彼女がモルガナから
心無い言葉を言われればショックを受けて、
戦えなくなるのではないかという危惧と
親殺しという罪を背負わせたくないという願いから
あえてアーヘンの防衛を任せたの。
アルトリウスが国に帰郷した後は瀕死の重傷を負った彼女を
懸命に看護した。
その後、自身の死期を悟ったアルトリウスより王位継承権を与えられ、
彼女の死後、新たなアーヘンの王となった。

そして、アーヘンは緩やかに衰退していった。」

「………………そんなことがあったんですね…………。」

「………古代ベルカの小国にしては珍しく、緩やかに衰退した国だったな。」

「でもどうして、クローンなんか………。」
「多分だけど、氷帝としての力を復活させようとしたんでしょうね。
当然、それを知った私は違法研究所に乗り込んでこの子を保護したの。
引き取り先についても長期的な安全が取れてからじゃないと、保護してもらうわけにはいかないし。
………でも、この子に懐かれちゃってね。」
「だって、私を助けてくれたんだもん。そりゃ懐くって。」


「で、旦那の芳樹さんと話をしてこの子の親になろうって話になったの。」
「良かったね、アリスちゃん。暖かい家族に迎えられて。」
「うん!」




続く。

ACT1-(2)

日本、海鳴市。
私立聖祥大付属小学校では始業式が行われようとしていた。

「はぁ…………始業式と言っても退屈ねぇ。」
「でも半日で終わるからいいんじゃない?」
「そうだよ、それにこの後は翠屋でお茶しようよ。」
「せやね。」
「皆でお茶するの久しぶりだね。」

「ま、悪くないかもね。」

「はい、皆さん。急な話ですが、始業式の前に新しいお友達がやってきました。」

担任の唐突な話に高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて、アリサ・バニングス、
月村すずかの5人を含めた4年生一同は驚いた。


「え、転入生?」
「綿貫さん、どうぞ。」

「初めまして、綿貫アリスです。
親の仕事の関係で、今日急遽編入することになりました。
よろしくお願いします。」

ペコリ、と会釈をするアリスになのは達はとりあえず拍手を送ることにした。


始業式はつつがなく行われ、学校は半日で終わった。
生徒玄関で靴の履き替えをしていたなのは達にアリスは声をかけた。
「……………………あのぅ、つかぬ事をお聞きしますが。」

「何か用?」

「高町なのはさんとフェイト・T・ハラオウンさん、それに八神はやてさんで間違いないですよね?
…………その、時空管理局に勤務している魔導師の。」

「………ん?ちょっと待ちなさい。まさかアンタも?」

「私も魔導師なの。」
「…………………え、えぇええ!?」



喫茶翠屋。

「……………ああ、綿貫か。知っているよ。綿貫満月。時空管理局でも数少ない、SSS+ランク魔導師だ。」

フェイトの義兄であるクロノ・ハラオウンは、アリスの母親について知っていることを話した。

「SSS+ランクの魔導師!?」
「なんや、私よりも強いんかぁ…………。」
「いや、そう言う問題じゃなくて。」
「まぁ、確かに私のママは最強だけどね。………ってそういう話は置いといて。
私と同じ魔導師が聖祥大にいるから、仲良くしなさいってパパとママに言われたの。」

「……あ、アリス。お待たせ、待った?」
「あ、ママ!」

「わぁ、凄い綺麗な人だね。」

「初めまして。アリスの母の綿貫満月と言います。………あら、ハラオウン執務官。どうも。
ハラオウン提督はお元気かしら?」
「元気でやっていますよ。」
「………あの、すっごい失礼なことを聞くんですけど………。」
「凄くお若いですね。」

「ああ、やっぱり気になっちゃう?アリスはね、養子なのよ。」
「ふぇ!?」

「……………あ、何かすみません。変なこと聞いちゃって。」
「いいのよ。初対面の人には必ず聞かれるから。
………アリスはね、記憶転写型クローンとして生まれたの。」

「………………フェイトちゃんと同じだね。」
「…………うん。」
「…………辛い話だけど、この子もね。古代ベルカで栄えていたアーヘンという小国を治めていた
氷帝アルトリウスのクローンとして生を受けたの。」

「古代ベルカ……じゃあ、シグナム達ももしかしたら戦ったかもしれへんってことですか?」
「…………もしかしたら、そうかもしれないわね。」



続く。

ACT1-(1)

「…………はい、満月ちゃん。アルテミスのメンテナンス終わったよ。」
「ありがとうございます、芳樹さん。」

時空管理局のメンテナンスルームで、綿貫芳樹は幼馴染で妻の綿貫(旧姓・姫宮)満月にデバイスを渡した。

「改良に改良を重ねて、より一層満月ちゃんの魔力に耐えられるようにしておいたから。」
「………すみません、私の魔力が強いばかりに。」
「仕方がないよ。満月ちゃんは時空管理局でも数が少ないSSS+ランクの魔導師なんだし。
魔力が強いのは当たり前だよ。」
「芳樹さん…………………。」

「………さて、そろそろアリスを迎えに行こう。」
「そうですね。」

管理局内にあるフリースペースでアリスことアルトリウスは勉強をしていた。

「アリス、遅くなってごめんね。迎えに来たよ。」
「あ、ママ、パパ!」

芳樹と満月の姿を見たアルトリウスはパタパタと駆けよると、満月に抱き着いた。

「良い子にしてた?」
「うん!ママみたいな魔導師になるのが私の夢だもんね!」
「そっか。じゃあ、そんなアリスにこれをあげよう。」


そういうと芳樹はアルトリウスにインテリジェントデバイスを渡した。

「…………え、パパ、いいの!?」
「うん。魔法の基礎は勉強しているし。そろそろ自分のデバイスを持ってもいいんじゃないかって
満月ちゃんと話をしていたんだ。」
「ただし、デバイスを持つ以上、悪戯に魔法を使うのは禁止ね。
あくまでも自分が習得した魔法の実践のためだけに使うこと。
人のために使うこと。」
「うん、わかった。悪戯に使わない。」

「約束だからね。」
「うん、約束する!」


「……………ねぇねぇ、この子の名前決めてもいい?」

「いいよ、マスター認証はアリスに一存するから。」
「やった、ありがと、ママ!
うーんと………あ、そうだ、ミネルヴァにしよう!
ローマ神話に出てくる女神の名前!」

「いいじゃないか。」
「アリスらしくて良いわね。」
「えへへ………。」


続く。

プロローグ

………かつてまだ古代ベルカが存在していた頃。
戦争が繰り広げられる戦乱の世の中、平和に衰退した小国があった。

氷帝アルトリウス。
古代ベルカのアーヘン王国を治めた氷帝の異名を持つ女王。
異名の由縁は魔力変換資質「凍結」を持っていたことと、
1度敵とみなした相手に対しては表情を変えることなく、
一切の容赦をしなかったことから由来する。
ただし、決して冷徹だったというわけではなく
仲間に対しては優しさを見せていた。
自身が治める国とその土地に生きる全ての民に、
慈しみを持っていたため、近隣諸国からは名君として名を馳せていた。
しかし、戦乱真っ只中の古代ベルカにおいて
異父姉であるモルガナと戦い、勝利をしたものの
元々余命僅かな病(当時の医療技術では治療が難しいものだった)を
抱えていたこともあり、国に帰郷してしばらくした後に息を引き取った。
病が影響していたせいなのか、子供を産む事ができなかったため、
同じ血を半分だけ引いているモルドレッドが現れた際には
たいそう喜んだらしく、
条件を付ける形で不信感を抱いていた周囲を黙らせ、
彼女を子供として認知した。

モルドレッドは
自身の死期を悟ったアルトリウスより王位継承権を与えられ、
彼女の死後、新たなアーヘンの王となった。


そして、アーヘンは緩やかに衰退の道を辿っていった。





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