「………………どうですか、芳樹さん?」
クルリ、と回った満月を見て芳樹はうん、と頷いた。
「良く似合っているよ、満月ちゃん。」
「ありがとうございます、芳樹さん。」
えへへ、と笑う満月の頭を芳樹はポンポン、と撫でた。
「芳樹、満月。お邪魔します。」
「ああ、姉さん。………智仁も来ていたのか。」
「招待状をよこしておいてその言い草はないだろう、義弟が。はっはっは。」
「満月ねーね、すっごい美人!」
「ドレス、似合っているよ!」
「ありがとう、幸仁様、幸子様。」
「コンサートが終わったら、顔馴染みの居酒屋で合流することになっているんだったな。」
「まぁ、皇室関係者が来ることを伝えているから、貸し切りにはしているんだけど。」
「お父様、お酒が入るとお母様に甘えるんだよねー。」
「ねー。」
「………国民にはとても見せられないわ…………。」
「あっはは、愛妻家と言ってくれ!」
「………愛妻家って言うより、母猫に甘える子猫みたいな感じなんですけど………。」
「………うん、それは俺もそう思った。」
「僕は猫か、うははは!」
「…………さて、そろそろ開場になりますので、お席に移動しましょう。」
白山の言葉に綾子はそうですね、と呟いた。
「では2人とも、また後程。」
「はーい。」
「じゃあね、芳樹にーに、満月ねーね。」
「はい、また後で。」
続く。