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ACT3-(5)

「んじゃあ、お姫様。採血するんでプスッと刺しますね。」
「はぁい。」

「………採血?」
「お姫様には多少、G細胞が混ざっているんですよ。
モスラの力で安定しているとはいえ、いつ何処で暴走するかわかりませんからね。
リアタイで薬の処方を変えているんです。」

「G細胞?」
「ゴジラ細胞のことよ。遺伝子の宝庫とも呼ばれているわ。
正しく使えば、再生医療を飛躍的に上昇させることができるの。
………でもゴジラ以外、G細胞を完全にコントロールするのは難しいのよ。」
「………そんな物騒なものが深愛の中にあるの?」

「怪我を負っても、毎回病院に行くことのないようにってことで受精卵に組み込まれたのよね。
まあ、G細胞と言っても、ホントに微量だから。
私で成功するまでに何千回、何万回も繰り返し実験したそうよ。」

「うわぁ……………頭が痛くなりそう。」

蒼氷に採血され、深愛は涼子に話をした。澪はげんなりとした様子で彼女の話を聞いている。

「さて、と。G細胞が暴走したことはないんですよね?」
「まぁね。おかげ様で。」
「こればかりは定期的に診ておかないと、何がきっかけでスイッチが入るか
わかりませんからね。
くれぐれもバトラになることだけはやめてくださいよ。」
「バトラにはならないよ、何が何でも。」
「………バトラ?」


「バトルモスラの略だよ。
守護を目的としているモスラと対を成す黒いモスラで攻撃を目的としているの。
攻撃力が高いんだけど、耐久性がイマイチで防御力が低下しているからね。
おまけにコントロールがなかなか効かないし………。」
「そうなの?」
「うん。モスラは防御力とか高いし、技の種類も汎用性がある。
だから、戦う時はモスラを主流としているんだけど…………。」


「バトラは絶対ダメ、何があっても!」
「私も反対だわ。バトラにだけは変身しないで!」

「う、うん………もちろんだよ……………そんな切羽詰まった顔で言わなくても………。」

「言うわよ、そりゃ!」
「攻撃力高い割に防御力が低下しているんだったら、一撃で倒れるじゃない!
そりゃ、バトラに変身したらダメって言うのは当たり前よ!?」


「良かったですね、お姫様、なかなか愉快なお友達ができて。」



続く。

ACT11-(1)

桜庭市営文化ホール。
そこには芳樹と満月のコンサートを鑑賞しにきた観客達で賑わっていた。

「随分と多いですねぇ。」
「これは当日券もあっという間に完売するなぁ。」

2階の窓から有料駐車場を見ていた物吉貞宗は三日月宗近と話をしていた。
守り刀の中でも古株に当たる三日月宗近は三条派を束ねるリーダー格だった。

「さて、ホールの警備はどうなっている?」
「今のところ、不備はありませんよ。粟田口の包囲網は完璧ですから。」

「そうだなぁ。一期一振は満月お嬢様に贈られた守り刀だからな。
粟田口は満月お嬢様のためにあると言っても過言はないだろう。」
「そうですね。」

廊下を歩きながら、物吉は三日月と話をする。
とそこへ、智仁と綾子が鬼丸と白山に連れられてやってきた。
「やぁやぁ、三日月に物吉!ご機嫌いかがな?」
「智仁様、綾子様。ご機嫌麗しゅうございます。」
「物吉と三日月は相変わらずのようですね。」
「はい、おかげ様で。」

幸仁と幸子が、物吉と三日月を見て、あ、と呟いた。

「物吉、三日月、こんにちは。」
「こんにちはー。」

「うむ、こんにちは。良い挨拶だな。」
「挨拶は最初が肝心てお母様が言っているもん。」
「ねー。」

「2人とも、持ち場を離れて大丈夫なのかい?」
「大丈夫ですよ。和泉守さんと堀川さんがついていますから。」
「そうか、ならよかった。」
「満月を狙う男達はあいも変わらずいますからね。」
「………そうですねぇ。」
「この間のファッションショーでも、リップサービスをしたというのに
なかなか減らないそうじゃないか。
まったく、満月ちゃんもモテるな。
姫宮は男しか生まれないから、殿宮に改姓した方が良いとか言っておきながら
満月ちゃんが生まれた途端、掌返しをするのはどうかと思う。」
「それは確かにそうですねえ。」
「姫宮をあらゆるものから守る代わりに女児が生まれたら、綿貫に嫁がせる約束をしていたものだからなぁ。」
「はは、行き過ぎた約束だが当人達には関係ないがな。」

「さて、と。重たい話はここまでにして満月達に会いに行きましょう。」
「満月ねーねと芳樹にーに、カッコいい衣裳と可愛い衣裳を着ているの?

「ええ、それはもちろんですよ。見てからのお楽しみです。」


続く。
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