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ACT9-(5)

「………………あれ?」
車道を歩いていた芳樹達だが、満月は周囲をキョロキョロと見回している少女に目をかけた。

「どうしたの、満月ちゃん。」
「………あの子、確か真琴ちゃん。」
「………ああ、澪ちゃんの学校の同級生の。」

「…………何処行っちゃったんだろう………。」

「おーい、真琴ちゃん!」

「…………あ、満月さん?それに芳樹さんも。
えっと、それに智仁様!?綾子様まで!?」
「どうかしたのですか?」
「……実は澪ちゃんとはぐれたっていうか、いなくなっちゃったんです。」
「………え?」
「いなくなった?」
「私がトイレに行っている間、待っているって約束していたんですけど、
居なくて………。
で、万が一はぐれた場合にはここで待ち合わせしようって言っていたんですよ。」
「ですが、見当たらないようですね。」
「……魔女のコスプレをしているので、すぐにわかるんですけど………。
それにたくさんお菓子を買っているから、そんな遠くに行けれないはずだし……。」
「…………芳樹さん、ひょっとして………。」
「………こんな真昼間から、誘拐したのか?」
「………だが、可能性としては否定できんな。」
「………そうですね。」


「………えっと、何の話ですか?」
「実は…………。」

満月は智仁から聞いた話をそのまま伝えた。それを聞いた真琴は顔を真っ青にした。


「え、じゃあ、そのギランボ(仮)に連れ去られた……ってことなんじゃ……。」
「一応、迷子センターにも声をかけてみましょう。」
「そうだね。もしかしたら、最新の情報がわかるかもしれない。」
「………ですね。」




迷子センターに移動した芳樹達は、親とはぐれた子供達がいないか確認を取った。

「………ええ、確かに。迷子になった子達は何人かいます。
でも大半がGPSをつけているのに、なかなか見つからないんですよ……。
電波の悪いところにでもいるのかしら…………。」

迷子センターの受付の話を聞いた芳樹達は顔を見合わせた。

「………一期、新選組の守り刀と蜂須賀に連絡を取れ。
人数は多い方がいい。」
「了解しました。」

芳樹の指示を聞いた一期は長曽祢に連絡を取った。

「…………………さて、どう出るんだ…………?」


続く。

ACT9-(4)

「あ、智仁様。綾子お義姉様。」
「お、満月ちゃんに芳樹。似合っているじゃないか。」
「……何だ、お前。フルバの草摩綾女か?」

「うん、似合っているだろう?」
「……………これで巳に変身していたら、皮を剥いでいたところだったけど。」
「あーや、義弟が酷いぞ。」

「昔はこういう性格ではなかったのですが………。
満月が生まれてからはクルリと変わりましたから。」
「はっはっは、ロリコンという奴だな。」
「ホントに剥ぐぞ!?剥いでやろうか!」

「…………若旦那様もほどほどにしてくだされ。」
「智仁様はこういう人なの、昔からそうじゃないですか。」
「…………頭が痛くなるだけですよ。」
「そうですねぇ……………。」

鬼丸と白山、一期と物吉とそして綾子は苦笑をした。

「幸仁様と幸子様は、可愛いですね。黒猫ですか?」
「うん、黒猫!」
「母様に用意して貰ったの!」


「さて、フリマの時間までまだ余裕があるから、散策でもしようか。満月ちゃん。」
「はい。」
「ミカエル祭も悪くなかったがハロウィン祭もなかなかに良いなぁ。」
「そうですね。」

歩道沿いに出店している屋台を見ながら、芳樹達は車道を歩いた。


続く。

ACT9-(3)

そして迎えた、ハロウィン祭当日。
桜庭市に設営された共用更衣室を前に、
2人は男性用と女性用の更衣室に向かった。

「…………それにしてもギランボ(仮)か………。
ホントに何を考えているんだろうね。」
「そうですね………ウルトラマンティガに出てくる、ギランボは子供の夢を食らう怪人でしたから。」
「…………今まで他の都市で誘拐された子供達はハロウィンが終わってから、帰ってきたんだよね?」
「ええ。ただ、半々の確率で記憶障害を抱えていたりとかしているので………。
犯人逮捕にはいたっていないそうなんです。」

「………そんな。」

「とにかく、お嬢様も1人歩きはよしてくださいね?
若旦那様みたいに、喚き散らすのはもっとよくないです。」
「うぐ…………。」

物吉に念を押されて、満月は言葉に詰まった。
「そんなに心配?」
「はい。お嬢様は綿貫家に嫁ぐ身ですし、何かありましたら綾人様達に叱られてしまいます。」
「…………まあ、物吉もお兄様達も心配症だからなぁ………。」

「……はい、着替えが終わりましたよ。お嬢様。」

物吉の手伝いもあり、満月は堀川国広に扮することにした。
「よし、これでOK。頑張って縫った甲斐があった。」
「そうですね。旦那様の分も縫っていらっしゃいましたから。」
「あはは………。」



「…………満月ちゃん、良く似合っているね。」
「芳樹さんも、似合っていますよ〜………!」

「わ、嘘、綿貫芳樹さんと姫宮満月ちゃん!?」
「和泉守兼定と堀川国広に扮するなんて聞いていないよ!」

ハロウィン祭に参加する予定の参加者達は、芳樹と満月の仮装に吃驚していた。

「あー、カッコいいと可愛いの組み合わせが尊い………!!」
「一緒に写真撮影をしたい…………。」
「有料でもいいから、写真撮らせてくれないかな…………。」
「馬鹿言わないでよ、そんなことができたら誰だって苦労しないわよ………。」


「……結構盛り上がっていますな。」


一期一振の言葉に芳樹はうん、と頷いた。

「さて、それじゃあ街を歩くとしますか。」
「………あ、でもその前に智仁様と綾子お義姉様と合流しないと…………。」



続く。
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