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ACT10-(5)

一方、その頃。同時刻。

「……………これはまた、奇怪な文章ですね。」
綾人の言葉に智久はだろう?と言った。

彼が手にしていたのは1枚の紙。
そこには満月のブランドが主催するファッションショーの中止を求める文章が書き記されていた。

「………ご丁寧に新聞紙の切り抜きを使っていますね。
満月に何の恨みがあるのでしょうか。」
「言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれればいいのに
根暗な奴なんだろうさ。
警察にも連絡はしているんだろう?」
「ええ、無論です。しかしだからと言って中止をするわけにはいきません。
今回のファッションショーは刀ミュとのコラボですからね。」
「…………そうなんだよなぁ。11振りの衣裳も出るんだっけね。」
「犯人は満月の才能を妬んでいるのかな?」
「そうだとしたら最悪だよ。」
「むむぅ、お兄ちゃんとしては満月の近辺を警護した方が良いと思う。」

「ええ、物吉をはじめ新選組の面子に任せることにしましょう。
もしかしたら、粟田口にも協力を要請してもらうことになるかもです。」
「…………まあ、何にせよ。大事なお姫さんに何かあったら困るからな。
芳樹も黙っていないだろう。」
「そうですね。…………将来満月を預ける身ですから。」

「お兄ちゃんは大変だなぁ………。」
「シスコンと言われても仕方がありません。
爆弾に備えて、爆破物処理班にも待機してもらいます。」
「………大袈裟だな。」
「大袈裟で結構ですよ。何せたった1人の妹ですから。」



続く。

ACT10-(4)

満月達と共にウィンドウショッピングをした咲耶は、
心が落ち着いていくのを感じた。

「…………大丈夫ですか?何処か具合でも?」
「あ、いえ………大丈夫です。なんていうか、心が落ち着いていっているみたいで。」

「それは良かったですね。」
物吉の言葉に咲耶ははい、と頷いた。

そしてあっという間に、時間は過ぎて行った。
咲耶は母親に電話をして、迎えに来てもらった。

「まあ、うちの娘がお世話になりまして…………。
色々面倒を見て貰ってありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ楽しかったです。」

ペコリと頭を下げる咲耶の母親に満月達は手を振った。

「拓哉君も心配していたんだから、後で連絡しなさいね。」
「はぁい。」
「そっか幼馴染は拓哉君って言うのか。」

「…………はい。本当に面倒見のいい人なんです。」
「幼馴染は貴重で大事だから、大切にしてね。」

「………はい。今日はありがとうございました!」


咲耶達と別れて芳樹はさて、と呟いた。
「じゃあ、俺達はウィンドウショッピングの続きでもしようか。」
「そうですね。」





続く。
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