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ACT16-(7)

強盗団は銃を構えたがそれよりも早く、一期一振と三日月、そして乱の3人が動いた。
瞬く間に十数人はいるであろう強盗団を叩きのめし、残すはリーダーだけとなった。
「う、嘘だろ…………何でたったの3人に…………。」

「…………ふむ、経験の差という奴であろうな。何せこう見えても年寄りでな。」
そう言うと三日月はリーダーに一太刀を浴びせた。

「お、おぉ…………さすがは守り刀ですな。政治界をはじめとする角界から、
その人材を欲しがると言うのも無理はないですね。」
「お褒めに預かり、光栄です。
しかし我々は綿貫と姫宮にしか仕える気はありませぬ。」
「我々の主人は綿貫だからな。」

「………何故姫宮も守るのですか?」
「盟約ですよ。綿貫は姫宮をあらゆる障害から守る、という約束をしているのです。」
「その代わり、女児が生まれたら綿貫に嫁がせるっていう見返りを、約束しているもんねぇ。」
「な、なるほど……………。
しかし、苦労もあったでしょう。
殿宮と改名した方が良いくらいに男児ばかりが生まれて、罵声も浴びたでしょうに。
それでも女児が生まれることを信じたんでしょうな。」
「ええ。おかげ様でお嬢様が無事に生まれたわけですが。」
「というかアルゴさん、結構物分かりが良いんだね。」

「……いや、何。私も若い時に恋い焦がれた女性がいましてね。
ただ、身分違いをはじめとした様々な事情から結ばれることはできなくて。
………今の妻に不満があるわけではないのだが。
そう言う過去がある故、姫宮の苦労も少しだけわかるのですよ。」
「そうだったんですか。」
アルゴ氏の話に満月は思わず涙ぐみそうになり、ハンカチで顔を拭いた。

「さて、後片づけは私の部下に任せましょう。守り刀の皆様もお疲れ様でした。」


「…………あ、ちなみに銃刀法に関しては黙ってくださるとありがたいです。」
「正当防衛ということで、黙っておきましょう。
皆様の命を守ってくださったのですから。」

「はっはっは、かたじけないな。」




続く。

ACT3-(9)

「うーん、海堂深愛に関しては防衛軍から詳細を調べるなっていうお達しが来ているんだよね。」
「何でですか!?16歳で一佐って普通に考えたらおかしいですよ!?」
「おかしいことはおかしいよ。
肩書は立派だけど経歴は不明だ。
ただ、それに関しては調べるなって言われていてね。」
「やましいことがあるからですか?」
「それはわからんよ。防衛軍だって昔は非人道的な実験をしていたって言う話があるぐらいだからね。」
「だったらなおのこと、調べた方がいいんじゃ………。」
「やめときなよ。ルポライターの人生、棒に振りたいの?」
「…………そんなにヤバいんですか、彼女。」
「………………こっちだって防衛軍の干渉がなければ、色々と情報をかき集めたいところなんだけどねぇ。」

出版社のオフィスで小鳥遊咲良は上司の話に耳を疑った。

「………君、昔から諦めは悪いからね。変なところで人生台無しにしたら駄目だよ?」
「………わかりました。ではこの話は保留ということで。」


「………うわぁ、ここがテレビ局か。入るの初めてだなぁ。
インファント島でもテレビ中継しているのかな?」
「………日本でしか放送されていない番組だよ。」
「……………あ、海堂一佐。」

「何?」

「………………例の御客人、連れてきましたよ。」

「こんにちは、深愛さん。涼子さん。」
「お久しぶりです。」

「アミにティエ、久しぶり!」


「…………うわ、小さ………でも美人。これが小美人?」
「はい。初めまして、有栖川澪さん……ですよね?」

「私はアミ。こちらは双子の妹のティエです。今日は番組に出させてくださりありがとうございます。」

「いいのよ、私の方こそ無理に言って悪かったわね。」
「いいえ、とんでもない。
澪さんのお役に立てるのなら喜んで。」
「ね、モスラは元気?」
「はい。元気ですよ。天気のいい日は周囲の海の上を飛んでいます。」

「そっか。」

「………しかし、ホントに大丈夫なんですか?」

「防衛海軍がモスラと知り合いだって言うのは別に隠すことじゃないし、嘘をついているわけじゃないしね。」


部下の言葉に深愛はあはは、と苦笑する。

「それに何処で誰が聞いているわからないから、ある程度の情報隠蔽にはなるでしょ。」

「…………そうですね。有栖川さん、くれぐれも海堂一佐のことは話さないようお願いします。」


「ええ、もちろん。それについては約束します。
こちらの無理難題に付き合って貰ったんですもの、それぐらいはしないと。」

「………一佐、ホントにいい友達に恵まれましたね。」

「………まぁね。」








続く。




ACT3-(8)

「…………え?テレビに出て欲しい?」
「そうなの。知り合いで凄い人いませんかって言う番組なんだけど。
私、それに出演することになって。
で、知り合いで凄い人を連れてこいって話なのよ。」
「深愛なら、16歳で防衛軍の一佐だもんね。肩書だけ見れば凄いもん。
………まぁ、経歴は言えないけど。」
「…………怪獣に変身できるって時点で凄いからねぇ。」
「もちろん、モスラに変身できるってことは言わないつもりよ。」
「澪がそう言うなら問題ないけど。まぁ防衛軍の干渉も多少はあるだろうけど…………。
大丈夫かな。」
「ありがとう、深愛。助かるわ。
こういう話を持ってこなかったら、良かったんだけど。」
「……フツーの女子高生は一佐なんてやってないわよ。」
「だよねえ。
…………それにこの間の小鳥遊咲良さんだっけ?
もしかしたらこの番組次第じゃ、追及かわせるかもよ。」

なんちゃって、と話す涼子に深愛と澪はなるほど、と呟いた。

「………その手はあるわね。」
「じゃあ、公開してもいい情報とダメな情報を分けないとね。」
「………深愛も大変だねえ。」

「涼子、他人事だと思って……………。」
「まぁまぁ、突っ込みは入れるから。」
「………そうしてね。」
「はいはーい。」






続く。
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