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ACT1-(6)

「………えぇ、芳樹さんに殺害予告?」
満月は毛利と包丁から話を聞いてげんなりとした表情をした。

「………三条の中でも最も強い三日月がいるのに、そんな度胸の持ち主がいたんだ。」

「心配なのはお嬢様の身に何が起こるかわからないことです。
念のために僕達から離れないでください。」
「うん、わかっているよ。」

毛利と包丁を連れ、物吉と共に満月は通学路を歩いていた。

すると黒い高級車が停車した。

「…………やぁ、姫宮満月さんだね?」
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
「お嬢様には本日、来客の予定はありませんが。」
「………ひょっとして、お嬢様を自分のものにしたいっていう馬鹿?」
満月を庇う形で彼女の前に立った守り刀に、運転席から降りてきた男はちっ、と舌打ちをした。

「………守り刀が3人もいるのか。構わん、やってしまえ。」

車から降りてきた黒スーツの男達が銃を構える。

「こういうところで銃を構えるなんて、銃刀法違反ですよ。」

そういうと物吉達は脇差と短刀を取り出した。

「物吉はお嬢様についてて。毛利と2人で始末するから!」

そう言うと包丁は毛利と共に男達めがけて、突撃した。



…………それから数分後。


「………もう終わり?」

ボコボコにされた男達が地面に倒れている。
黒スーツの男達は毛利と包丁の敵ではなかったようだ。

「な、何でガキの癖に強いんだよ…………銃は壊れるし………!」

「こーいうところで銃なんかぶっ放したら危ないじゃんか。」
「そうですね。民家を壊したら建造物破壊の罪に問われますし。」
「…………で、どうしますか?まだ僕達と戦いますか?それとも、降伏しますか?」
そう言いながらも、物吉は刀をリーダー格の男に向けた。

「貴方に聞きたいことがあります。
若旦那様に殺害予告のラブレターを送った人物に心当たりは?」

「し、知らねぇよ!俺達はただ依頼されただけだ!姫宮満月を誘拐してこいって!」
「…………誰にですか。」

「あ、綾小路公孝だ…………。」



「…………ああ、綾小路グループの御曹司ですか。中小企業の。」

「そういえばあまりいい噂聞かないね。」


「そういうところにお嬢様を嫁がせてたまるかっての。」

「とりあえずー、警察に取り調べてもらおうか。」

「ですね。」





続く。

ACT16-(3)

「…………以上が本日の報告となります。」
「あい、わかった。ありがとう、一期。」

とある日の午後、芳樹は綿貫家の次期頭首としての仕事をしていた。

「…………お疲れ様です、芳樹さん。」

コトッ、と芳樹の前にコーヒーカップが置かれる。

「ありがとう、満月ちゃん。」
「いいえ、これぐらいしかできませんから。」
「こういう仕事は智久の方が得意なんだけどなぁ………。
あいつにばかり任せられないし。」
「よくよく考えると智久さんに任せっきりなところもありますからね。」
「今度、あいつに何か奢ってやらないとね。」
「はい。」

コホン、と一期一振が咳払いをして芳樹と満月はお互いに笑う。

「若旦那様ー、お嬢様借りていってもいい?」

パタパタと走ってきた乱藤四郎が楽しげな表情で芳樹に言った。

「何か楽しいことでもあったのかな、乱?」
「次郎太刀さんが反物屋で、良い生地を見つけたって。
それで、反物を仕立てるからお嬢様に来て欲しいって。」

「………行っておいで、満月ちゃん。」
「はい。芳樹さんもほどほどに休憩をとってくださいね。」

そういうと満月は乱と共に部屋を後にした。


「……………めっちゃ抱きたいんだけど。」

「後1年の辛抱ですな。」
「……………お前を満月ちゃんの守り刀にした以上、そう返ってくるのは当然だよな。」
「ええ、そうですとも。生涯あの方しか愛さないと言うことで、私を贈られたのですから。」
「……………不服か?」
「いえ、身に余る光栄です。貴方の花嫁を守ることが私の役割ですからな。」
「………そう言ってくれるとありがたいんだがな。」

きぃ、と背もたれに背中を押し付けながら芳樹は深いため息をついた。
「………………綿貫は姫宮をあらゆることから守る代わりに
女児が生まれたら自分のところに嫁がせる、という約束を交わした。
満月ちゃんにとっては酷な運命なのかな。」

「………お嬢様にとって酷かどうかはお嬢様自身が決めることです。
少なくとも、お嬢様は今のところ、自分の運命を恨んではいませんよ。
貴方の元に嫁ぐ日を今か今かと楽しみにしているぐらいですから。」

「…………そう言ってくれると、嬉しいんだけどなあ………。」




続く。

ACT1-(9)

「…………何はともあれ、皆無傷で帰ってきて良かった。」
「当然です。刀剣男士として顕現した以上、まけはゆるしませんよ。」
「ははは、今剣は手厳しいなぁ。」

朝方になり、満月は夜戦をしてきた三日月達を出迎えた。

「朝ごはんできているから、一緒に食べよう。」
「お、準備がいいな。主。」
「何分、一緒に戦うことはできないからね。これぐらいは。」
「ありがとうございます、主様。」

「今回の誉は堀川だな。」
「そうそう、国広は闇討ち暗殺お手の物だからな!当然だろ?」
「兼さん!」
「………じゃあ、堀川には野菜たっぷりあげないとね。」
「あ、ありがとうございます………主さん。」

「あれ?野菜嫌いだった?」
「あ、いえ。兼さんじゃあるまいし………。」
「何だとこら!?」

「…………はいはい、好き嫌い残さず食べようね。」

朝ご飯が終わり、満月は堀川と共に食器洗いをしていた。


「…………夜戦帰りで大丈夫?休んでなくても平気?」
「ジッとしているのが苦手で。」

「……無理は禁物だからね。」
「はぁい。…………主さん、心配性ですね。」

「そりゃ自分の刀だからね。替えが利かないし。」


「…………………そうだ、初陣は何とか勝利できたって咲良さんに報告しないと。」
「そうですね。何かと心配してくれていますから。」
「うん。………向こうの方でも、三日月が何で歩道に落ちていたのか調べてくれているみたいだし。
頑張らないと。」



続く。
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