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ACT15-(1)

「ご覧ください、本日桜庭市は桜庭市コミケ&仮装デーということもあり、
大勢の人で賑わっています!」
テレビカメラの前で女性リポーターが桜庭市商店街の様子をテレビ局のスタジオに伝えていた。
「歩行者達は思い思いに自分の好きな格好をして、商店街を歩いています。」

「…………………本当にいつ来てもここは賑やかだねぇ。」
「そうですね、芳樹さん。」
「今日は仮装デーですからね。」
芳樹と満月は物吉と共に商店街に来ていた。
本日は1日オフのため、久しぶりのデートである。

「あ、綿貫芳樹さんと姫宮満月ちゃんが来ました。今日はデートなのでしょうか?」

リポーターの声に気づいた2人は軽く手を振った。
商店街を歩いている歩行者達は2人に気づき、黄色い歓声を送る。

「じゃあ、着替えるとするか。満月ちゃん、また後でね。」
「はい。」

共有の更衣室として開放されている空き店舗で、3人はいったん別れることにした。

………………それから十数分後。

「………まぁ、こんなところかな。」
先に出てきた芳樹は和泉守兼定の格好をして、歩道で満月を待った。
「お待たせしました、芳樹さん!」

堀川国広の格好をした満月が物吉と共にパタパタと駆けてきた。
ちなみに物吉はメイド服を着ている。

「うん、似合う似合う。」
「えへへ、ありがとうございます!芳樹さんも似合っていますよ!」


「あ、あの、写真撮ってもいいですか!?」
「あ、ズルい、私も!」

あっという間に2人はファンの女性達に囲まれた。

「まあ、今日はオフだけどいいかな。」
「そうですね。せっかくのコミケ&仮装デーですし。」


「ありがとうございます!」

スマホやデジカメで一通り、写真撮影をした後、ファン達はお礼を言った。
「良いファン達だねぇ、ちゃんと分を弁えているというか。」
「そうですね。マナーの悪い方達でしたら、丁重にお断りしていましたけど。」
「まあ、なかなか芸能人との記念撮影なんてできませんからね。」

「…………で、春花ちゃんは同人即売会に出店しているんだっけ?」
「はい。従姉妹が腐っているとかで、売り子として駆り出されたらしく…………。」
「……………ああ、それでいい出会いがないとかどうとかボヤいていたんだっけ。
智久でも押し付けたら発狂しそうだね。」
「その前に智久さん、お断りだって言いますよ。」
「………智久様も、人間ですから。好みが必ずしも一致するとは限りませんよ。」
「そうなんだけどねぇ……………。」



続く。

ACT2-(2)

咲良が審神者になってからというもの、クラスメイトとの距離感は今までと同じであった。
本丸で暮らすこと以外は今まで通りの生活を、ということもあり、
咲良は一安心していた。

「……………………つまりあれ?小狐丸は主を呼んでいたわけ?」
「そうですなぁ。1人でいるのもつまらないと思っていたところですよ。」
「………ふーん。でもさ、主が来なかったらどうするつもりだったの?」
「無論、探す予定でしたよ?
でも主様の方から来てくださったのです。」
グラウンドで体育の授業に参加する咲良を見守りながら、清光は小狐丸と話をしていた。

「でもさ、時間遡行軍に目をつけられるなんて主も大変だったね。」
「正式に審神者になる前の人物を狙うとは………敵も相当焦っているようですね。」
「みたいだね。…………でもまぁ、被害が甚大じゃなくてよかったじゃん?」
「増援が来ていればさすがの私でも無理がありましたよ。
主様は霊力が高いとはいえ、まだ子供ですし、できることも限られています。」
「その辺は俺達がうまくサポートすればいいよ。なんてたって、主の刀剣男士だし?」
「そのつもりですよ。」

「………あ、小狐丸!危ない!」

サッカーボールが飛んできたので小狐丸はそれを両手で受け止めた。

「おお、ナイスキャッチ。」
「これぐらいは造作もないことです。
主様、はいどうぞ。」
「ありがと、小狐丸。2人とも真面目で助かるよ。」


それだけ言うと咲良はサッカーボールを持って2人から離れた。


「………………で?主の両親からは何も返事が来ないわけ?」
「多忙だと仰っていましたが、さすがに1週間も経っているのに
連絡の1つもよこさないとは………………。
主様に無関心なのでしょうか。」

「うーん…………。一応政府も育児放棄されている可能性があるってことで調べるって
言っていたし。」

「………何にせよ、主様の成長に弊害を及ぼすものは切り離した方がよさそうですな。」

「そうね。」




続く。


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