「…………はー、食った食った。」
「美味しかったね、レストランのスペシャルメニュー。」
「………俺、邪魔してよかったのか?」
「仕方がないだろ、お前、俺達の写真撮ってこいって父さんと母さんに頼まれたんだろ?
写真撮影が趣味なんだし。」
「ほのおタイプの使い手らしく熱血漢で猪突猛進なのに、意外に腕とセンスがいいんだから。」
「何だとー!?」

レストランを後にした3人はホカホカとした様子で外に出た。


「………あ、雪。」
「冬だから仕方がないよな。」
「道理で冷えるわけだよ。………ホッカイロあったかな。ほい、サクラ。」
「あら、ありがとう。タクマ。」
「俺にはー?」
「てめぇは寒さに強いだろ!?こおりタイプの使い手なんだから!」
「うわあ、冷たいなあ。
ほのおタイプの使い手のくせに。」
「うるせぇ!」



「……………………ってあれ?」
「サクラ、どうしたの?」
「どうかしたのか?」

「あそこ、オドシシがいるわ。」
「………あ、ホントだ。」
「アローラには生息していないよな。」

パタパタと3人が駆け寄ると、1人の男性が困ったような顔をしていた。
「どうかしたんですか?」
「いやぁ、稼ぎ時だと言うのにワシのオドシシが体調を悪くしてな。
医者に見せようにも、もうしまっておるしのぅ………。」
「……ちょいと良いですか?……ああ、これただの風邪ですね。」

タクマはそういうと、鞄からポケモン用の薬を出した。

「これ、飲ませてやってください。元気になります。」
「おお、助かるな。お前さん、医者なのかい?」
「……あ、いや。親父がポケモンドクターでたまに手伝わされるんですよ。」

タクマから薬を受け取った男性はオドシシに、それを飲ませた。


薬の成分が効いたのか、オドシシはみるみるうちに回復した。

「おぉ、良かったな。オドシシ。」

「あくまでも応急処置なんで、今日は持ちますけど念のため明日、病院に連れて行ってください。
で、医者にこの薬を飲ませましたって。」

サラサラ、と紙に薬の中身を書いたタクマは男性に渡した。
「すまんなぁ。お礼をしたいんじゃが、多忙の身なんもんでな。
後で送るよ。」

「あ、いえいえ。そんな、ただ困った人は助けるようにって言われただけなので。」

「やるじゃん、タクマ。」
「そうね。さすがポケモンドクターの子供だわ。」
「うるせぇ、ヒロキにサクラ!恥ずかしいからやめろってんだ!」

「ホントにありがとう。タクマ君。」




続く。