スタジオに入ると、最新気鋭のアイドルグループや歌手が椅子に座っていた。
「姫宮満月さん、入りまーす!」
「………よろしくお願いしまーす。」
(模造)刀を片手に、満月はスタジオを歩く。
「あら、満月ちゃん。」
「愛歌さんもいたんですか?」
「ええ、私も招待されてね。……でも満月ちゃん、結構目立つわね。清光の格好。」
「……打診したんですよ、この格好じゃないと出演しないって。」
「さすが。策士ね。
それ以外の私服だったら、芳樹君達の趣味丸出し全開だもの。」
「あはは………ゴスロリとか、ヒラヒラしたフリル衣裳とか着せてきそうなので………。」
「あ、あの、こんにちは!桧物美桜って言います。」
「私、老月咲良です!」
「ずるいずるい、私、明海櫻子です!」
「………ああ、CherryBlossomの!3人さくらの名前が入っているって最近話題の。
team新選組が稽古中に音楽聴いているんですよ。」
「え、ホントに!?」
「私達、team新選組with蜂須賀虎徹が好きだから嬉しいな!」
「何だか嬉しいかも!」
「満月ちゃんも大変だよね、team三条にteam新選組の両方に引っ張りだこだもん。」
「そうそう。おかげで私達が通っている学校なんかじゃ、三条の姫って呼ばれているもの。」
「どっちかっていうと新選組の姫って感じがするのにねー。」
「…………ホンットに新選組が好きなんですね………。」
「そりゃあ、新選組って言ったら幕末の京都で活躍した治安組織だもん。」
「ねぇねぇ、後で連絡先交換しない?私達、仲良くなりたいの!」
「あー、別に良いですけど…………。」
「……そういえば満月ちゃん。」
「はい?」
「守り刀、来ているの?」
「ええ、清光と物吉と一期が。」
最前列を指差すと、3人が軽く会釈する。
「物吉ちゃんと一期ちゃんは満月ちゃんが生まれた時に贈られたのよね。」
「そうなんですよ、清光は私が中等部に進学した時に贈られました。」
「はぁ、綿貫さんも贈る守り刀多くないですか?」
「過保護っていうか、ホントに溺愛されているんですねぇ。」
「私のところはお兄様達が五月蠅いですからね。
私が欲しければ、5人と勝負して勝ってから、交換日記をするところから初めてもらうぞって。」
「………そういえば、全員が剣道の有段者だったものねぇ。」
「………全国大会出場経験ありのお兄様方と勝てる人間なんている?」
「ズタボロにされるのがオチだね。」
「うん。」
「…………シスコンよねぇ。」
続く。