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ACT1-(2)

審神者とは眠っている物の思い、心を目覚めさせ、
自ら戦う力を与え、振るわせる技を持つ者。

その技によって生み出されたのが、
「刀剣男士」という付喪神、らしい。


「…………え、ってことは私、審神者としての才能があるってこと?」
「うむ。理解が早くて助かるぞ。つまりはそういうことだな。」


一戸建て住宅に帰ってきた満月は三日月宗近に茶を勧め、彼の話を聞いた。

「そっか。住むところはあるし、ご飯も作るのも得意だし、服についてはまぁ………買えばいいかな。
とにかく、これからよろしくね、三日月。」
「うむ、よろしく頼まれるぞ、主よ。」

「………でも時の政府に連絡するのは面倒だな。」
「何故だ?」

「だって、色々手続きとかすることになるじゃん。
審神者になるための。
それにフツー刀剣男士って本丸ってところで鍛刀するか出陣先で入手するかのどっちかじゃない。
何の変哲もない道路で、落ちていたのは何で?」

「………俺にもよくわからんのだ。」

「………え?わからない?」
「気づけば、あそこにいた。…………ただ、それだけだ。」
「…………………そうなんだ。じゃあ、仕方がないね。記憶を失っているわけでもなさそうだし…………。」
「すまんな、主よ。」
「……………うーん、三日月が別に悪いってわけじゃないんだけどなぁ…………。
まあ、いいや。理由が明らかになるまでは、政府に連絡しないということで。」
「あい分かった。」

「………というわけで、三日月。」
「何だ?」
「…………ちょっとスリーサイズ測るね。洋服、ネットで買うから。」
「はっはっは、良いぞ良いぞ、触ってよし。」


「………マイペースすぎじゃね?」

「11世紀の末に生まれた。要するにじじいさ。」
「………………ああ、そっか。おじいちゃんと孫になるよね…………ってそういう話じゃなくて!!」


続く。

ACT1-(1)

「…………………………凄い綺麗。」
東京・上野にある東京博物館にて、姫宮満月は鎮座されている刀を見た。
地方都市である桜庭市から東京観光にやってきた満月は、帰郷する前に国宝展を見に来た。
刃が剥き出しの1振りの刀。
その名は「三日月宗近」と言って天下五剣の中でも最も美しいとされる刀らしい。
「………あ、そろそろ新幹線に乗らないと……………。」
もう少し眺めていたかったが、新幹線に乗る時刻が迫ってきていたため、
満月は博物館を後にした。

スマートフォンを見ると両親からLINEが来ていた。
海外出張をしている両親は仕事の関係でなかなか日本に帰ってこれない。

「…………『あまり無理をしないで、三食きっちり食べてくださいね』っと。」
満月はLINEでそう送ると、スマートフォンを鞄の中に入れた。

予定よりも早く東京駅に着いた満月は新幹線に乗り、桜庭市に帰ってきた。

桜庭市は四方を桜の木に囲まれた様子がまるで庭のようだと称されたことから、
そう名付けられた都市だ。

桜庭駅を出た満月はすっかり暗くなった道を1人歩いた。

「…………………………………何か、寂しいなぁ。」

1人、ポツリと呟き満月はふと目の前を見た。

「………………!?」


歩道の真ん中にぽつん、と1振りの刀が落ちていた。

三日月の紋様が入った柄に収まった刀が1振り。


「…………べ…………。」

「………え?」

「…………………よ…………べ…………。」

何処からともなく声が聞こえる。
だが自分以外に人間はいない。

「………ひょっとして、この刀が………?」


「……………俺の名を呼べ。」

「…………名、前…………?」

スゥ、と鞘から刀が独りでに抜かれ、その刀身をマジマジと見た目を見開いた。



「………打ち除けが多い……………。まさか、三日月宗近………?」

満月が刀の名を口にした途端、桜吹雪が舞った。




「………三日月宗近。打ち除けが多い故、三日月と呼ばれる。よろしく頼む。」



続く。

プロローグ

西暦2205年。
歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」によって過去への攻撃が始まった。
時の政府はそれを阻止するため、「審神者」なる者を各時代へと送りだす。
審神者なる者とは眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる、
技を持つ者。
その技によって生み出された付喪神「刀剣男士」と共に審神者なる者は過去へ飛ぶ………。


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