その日は雨が降る日だった。

自動車がちょうど車検の時期だったこともあり、
芳樹と満月は徒歩で商店街まで移動し、買い物を済ませようとしていた時であった。

店にトラックが突っ込んできた、ということが起きるまでは。




「…………まったく、物吉から知らせを聞いた時は冷や汗をかいたぞ。」
「………すまん。まさかトラックが突っ込んでくるとは思ってもいなくて。」
「……………うぅ、よりにもよって怪我をするなんて…………。」
「2人揃って怪我をしたって聞いた時は心臓が止まるかと思ったよ!」


幸人の言葉に芳樹はあはは、と苦笑いをする。

「安心しろ、トラックの運転手には慰謝料と賠償金をたっぷり請求するからな。」
「………あの、ほどほどにしてくださいね。お兄様。」

桜庭総合病院の個室病室にて、芳樹と満月は仲良くベッドの上に寝ていた。
トラックが店に突っ込み、芳樹は満月を庇ったのだが、満月も多少の怪我を負ってしまい
2人揃って全治2週間と診断された。

「でもまぁ、良かったわ。2人の怪我がたいしたことなくて。」

見舞いに来たジャンヌはホッとした様子で満月の頭を撫でた。


「お仕事も頑張っていたのだから、神様から貰ったお休みだと思ってゆっくり養生しなさいな。」
「…………満月ちゃん、テスト期間だったのに残念だね。」
「あら、免除されるからいいじゃない。勉強からいったん離れなさいな。」
「テスト免除は嬉しいですけど…………。」
「ま、綿貫と姫宮の仕事もないし、ゆっくり休むんだな。」

綾人の言葉に2人ははーい、と頷いた。




続く。