布団を片付けた満月は芳樹と智久と共に正座をして、
空汰の話を聞くことにした。

「ここ阪神共和国には巧断っていう八百万の神様みたいなもんが存在していて、
異世界から来た人間であろうと、憑くもんは憑くんや。」
「なるほどな、俺達がここに来る祭に現れた光も巧断というわけか。」
「………ああ、そういえば私の場合は赤い光でした。」
「俺は青い光だったけど。」
「緑の光だったぜ、俺は。」
「そやな。とりあえず3人共、巧断が憑いているのは確かや。
もちろんわいにも憑いている。
…………ただ、その巧断についてなんやけど…………。」
「最近、巧断が人から離れると言う事件が発生しています。
離れる、というよりは消失した、と言えばいいのでしょうか。」
「……………侑子さんが言っていた八百万の神とも
言われる巧断の力を悪用する何かって奴の仕業か。」
「そうなりますね。」
「ただ、出たり消えたりするもんやから、ワイらでも簡単には見つけることができん。」
「………となると私の魔眼が頼りになるってことですかね………。」
「視えないものを視ることができる満月ちゃんの魔眼をうまく使えればいいんだけど…………。」
「………巧断は目に見えるものですし、普通に触ることもできます。幽霊ではありません。」
「まあ、そうですよね…………。」
「力の強い巧断が消えたという話は今んところ入っていないんや。
ただ、いつなんどき消えるかはワイらにもわからん。」
「…………だから、夏休みの間に解決しろってことなのか。」

「………ですね。」
「事件を解決するまではここを拠点にするとええ。」

「ありがとうございます、空汰さん。」
「ワイのハニーに惚れるなよ?」
「惚れないから。」
「惚れません。」
「…………芳樹さんは私の婚約者ですから。」



続く。