「…………はい、満月ちゃん。アルテミスのメンテナンス終わったよ。」
「ありがとうございます、芳樹さん。」

時空管理局のメンテナンスルームで、綿貫芳樹は幼馴染で妻の綿貫(旧姓・姫宮)満月にデバイスを渡した。

「改良に改良を重ねて、より一層満月ちゃんの魔力に耐えられるようにしておいたから。」
「………すみません、私の魔力が強いばかりに。」
「仕方がないよ。満月ちゃんは時空管理局でも数が少ないSSS+ランクの魔導師なんだし。
魔力が強いのは当たり前だよ。」
「芳樹さん…………………。」

「………さて、そろそろアリスを迎えに行こう。」
「そうですね。」

管理局内にあるフリースペースでアリスことアルトリウスは勉強をしていた。

「アリス、遅くなってごめんね。迎えに来たよ。」
「あ、ママ、パパ!」

芳樹と満月の姿を見たアルトリウスはパタパタと駆けよると、満月に抱き着いた。

「良い子にしてた?」
「うん!ママみたいな魔導師になるのが私の夢だもんね!」
「そっか。じゃあ、そんなアリスにこれをあげよう。」


そういうと芳樹はアルトリウスにインテリジェントデバイスを渡した。

「…………え、パパ、いいの!?」
「うん。魔法の基礎は勉強しているし。そろそろ自分のデバイスを持ってもいいんじゃないかって
満月ちゃんと話をしていたんだ。」
「ただし、デバイスを持つ以上、悪戯に魔法を使うのは禁止ね。
あくまでも自分が習得した魔法の実践のためだけに使うこと。
人のために使うこと。」
「うん、わかった。悪戯に使わない。」

「約束だからね。」
「うん、約束する!」


「……………ねぇねぇ、この子の名前決めてもいい?」

「いいよ、マスター認証はアリスに一存するから。」
「やった、ありがと、ママ!
うーんと………あ、そうだ、ミネルヴァにしよう!
ローマ神話に出てくる女神の名前!」

「いいじゃないか。」
「アリスらしくて良いわね。」
「えへへ………。」


続く。