………かつてまだ古代ベルカが存在していた頃。
戦争が繰り広げられる戦乱の世の中、平和に衰退した小国があった。

氷帝アルトリウス。
古代ベルカのアーヘン王国を治めた氷帝の異名を持つ女王。
異名の由縁は魔力変換資質「凍結」を持っていたことと、
1度敵とみなした相手に対しては表情を変えることなく、
一切の容赦をしなかったことから由来する。
ただし、決して冷徹だったというわけではなく
仲間に対しては優しさを見せていた。
自身が治める国とその土地に生きる全ての民に、
慈しみを持っていたため、近隣諸国からは名君として名を馳せていた。
しかし、戦乱真っ只中の古代ベルカにおいて
異父姉であるモルガナと戦い、勝利をしたものの
元々余命僅かな病(当時の医療技術では治療が難しいものだった)を
抱えていたこともあり、国に帰郷してしばらくした後に息を引き取った。
病が影響していたせいなのか、子供を産む事ができなかったため、
同じ血を半分だけ引いているモルドレッドが現れた際には
たいそう喜んだらしく、
条件を付ける形で不信感を抱いていた周囲を黙らせ、
彼女を子供として認知した。

モルドレッドは
自身の死期を悟ったアルトリウスより王位継承権を与えられ、
彼女の死後、新たなアーヘンの王となった。


そして、アーヘンは緩やかに衰退の道を辿っていった。