「…………闇呪に蝕まれているのか。」
「みたいですね。」
綾音の話を聞いた芳樹と満月の2人は病室に戻ると、ため息をついた。
「夢の世界に入って、現物を見てみないと何とも言えないけどね。」
「そうですねぇ。」
「とにかく、早いうちに手を打った方がいいな。
どうせ、2週間やることもないんだし。」
「はい。」
「満月ちゃん、準備はいいかな?」
「もちろんです、芳樹さん。」
夜になり、消灯時間となった病院で満月は魔法陣を展開した。
「………………さて、それじゃあ出発するとしますか。」
「ボランティア活動はあまり好きじゃないんだけどなぁ、そうも言ってられないね。」
「芳樹さん。奉仕活動はちゃんと参加しないとダメですよ。」
「満月ちゃんがやるなら、俺もやるんだけどねぇ。」
そう言って、2人は綾音の夢の世界へ向かった。
「……………おじいちゃん、大丈夫?」
夢の中で綾音は闇呪に侵食されている祖父を心配していた。
「………ばあさんは息災か?無事にやっていけれているか?」
「それ、この間も聞いたよ。でも私、退院できないからおばあちゃんの様子見に行けないって!」
綾音はそういうが、祖父の体を蝕む闇呪はさらに食い込んでいく。
「…………おじいちゃん!」
「綾音ちゃん、待って!それに触っちゃ駄目!」
苦しそうにうめく祖父に近づこうとした時、綾音を制止する声が聞こえた。
「………満月お姉ちゃん!?それに芳樹お兄ちゃんも!」
芳樹は綾音の祖父に近づくと、庭師の鋏を召喚した。
そして、祖父から闇呪を斬り離した。
「もう大丈夫よ、綾音ちゃん。これでお爺様はもう苦しまないわ。」
「…………どういうこと?」
綾音の祖父から切り離された闇呪は、人間大のサイズに変化した。
「…………さて、ここからが勝負だ。大人しく斬られると良い。」
続く。