「……………で、これからどうするの?滞在先だって決めないといけないし。」

「そうですわね。マグノリア王女、失礼ですけど何歳ですか?」
「今年で14歳になります。」
「あー………じゃあ、マンションとか借りるのは無理だね。」
「そだね。連帯保証人いないし。」

「………私らのうちの誰かんちで預かるってことにする?」
「それが無難かな。」
「そうですわね。………で、言い出しっぺの法則として勇花ちゃんが責任持ってください。」
「えぇ、私!?」
「当たり前です。」
「そんな殺生な。智恵ちゃんや仁美ちゃんの家でもいいじゃん。」
「3人の家を転々と回るのもちょっとね。」
「………それにおば様だってこの手の話には弱いじゃないですか。」
「う………確かに年頃の女の子が1人、困っていたら手を差し伸べるけど………。」
「決まりですわね。」
「じゃあ、そういうことで。」
「…………もう、2人とも…………。」
「とりあえず、おば様に説明しましょう。」
「善は急げって奴で。」




「…………というわけなんです。おば様、しばらくの間、マグノリアさんを預かってはくれませんか?」
「まぁ、大変だったわね。苦労したでしょう。
フォルトゥナ王国っていう小さい国からやってきて…………。」


櫻井家で美月は勇花達の話を真剣に聞いた。


「うちでよければ住むといいわ。」
「ありがとうございます、美月さん。何とお礼を言えばいいのか…………。」


勇花達は美月に、フォルトゥナ王国がクーデターに遭い、亡命してきたという話をした。
実際には闇の魔王が国を混乱と破滅に追い込んだのだが、あながち嘘を言っているわけではない。
騎士団との連絡が取れないのは事実だし、当面は安定した生活を送る必要がある。

「ちょうどお客様用の部屋が1つあるし、大丈夫でしょう。
日本は治安が良いから、ゆっくり休んで頂戴。」
「………ありがとうございます。重ね重ね、お礼を申し上げます。
フォルトゥナ王国は櫻井家への恩義を忘れませんわ。」

「…………まったく勇花もマグノリアちゃんを見習いなさい。こんな丁寧なお礼を言うんだから。」
「余計なお世話よ!」





続く。