「…………………………よし、っと。」
ミツキは家を管理している初老の夫婦にカントー地方に到着したことを知らせるメールを送った。
ポケモンセンターの宿泊ベースで泊まることになり、ミツキはヨシキと一緒の部屋を取った。

「……緊張しているかい?ミツキちゃん。」
「とっても緊張しています。ヨシキさんは旅慣れているからいいけど、
私はアルトマーレを出るのは初めてだから。」
「そうだねぇ。ミツキちゃん、ようやく旅立ちを許されたからね。
でもミツキちゃんは中級トレーナーだから。」
「確かにそうですけど、まだまだな部分もありますよ。
ヨシキさんに比べて手持ちも少ないし。」
「まあ、それはこれからゲットしていけばいいさ。」
「……………はい。」

「じゃあ、おやすみ。ミツキちゃん。」
「はい、おやすみなさい。ヨシキさん。」


…………………そして、次の日。

「………………ふぁあ〜あ………………良く寝た…………。」

スヤスヤと寝息をたてて寝ているヨシキの隣で、ミツキは目を覚ました。

「ピカ、ピカチュウ!」
「ニャオ!」

「おはよう、ピカチュウ、ニャオハ。」

窓のカーテンを開くとまばゆい太陽光が部屋の中に入ってくる。

「…………あれ?もう朝かい?」
「はい。おはようございます、ヨシキさん。」

「おはよう、ミツキちゃん。…………良い朝みたいだね。」
「はい。昨日は曇り空でしたけど、今日は快晴です!!」


身支度を済ませ、宿泊ベースを出ると何人かのトレーナーが食堂にいた。

「おはよう、よく眠れた?」


「今日は良い天気だね。」


様々なトレーナーと会話をかわし、ヨシキ達は窓側の席に座った。


「…………さて、いよいよ今日はジム戦だね。その前に軽くウォーミングアップしようか。」
「はい、お願いします!」

気合を入れるミツキにヨシキはクスクスと笑った。


「あの子、可愛いね。」
「ホント、ポケモンも可愛いし。」
「ビギナーさんかな?」
「ちょっとちょっかい出してみる?」
「やめとけよ、彼女の隣にいるの、ひょっとしたらヨシキさんかもしれないぜ?
各地のチャンピオンと互角に戦ったって言う。」
「うっそ、そんな強い人と旅をしてんの!?」
「いいなぁー。」



「ヨシキさん、注目の的になってますね。」
「あはは、俺肩書には無頓着だからねぇ。」

「………………………………まあそこがヨシキさんらしいと言えばヨシキさんらしいですけど。」

「さて、朝ご飯を食べてウォーミングアップしようか。」
「……………もう、ヨシキさんは……………。」





続く。