「………とりあえず、情報収集するか。」
「そだな。」
「はい。」

3人は近くのお好み焼き屋に入ることにした。


「あんちゃん達、すげぇな。憑いてる巧断が特級だなんて。」

一部始終を見ていたお好み焼き屋の店員が、3人に話しかけてきた。

「そりゃどうも。特級というと階級の1番上だよな?」
「変なこと聞くけどまぁいいか。
そうだぜ、巧断は1番上が特級で1番下が4級なんだ。
階級制度はとっくの昔に廃止されているけど、
阪神共和国の連中はまだ階級を使っているんだ。」
「へぇ、そうなんだ。それにしてもあいつら、警察が来るのが面倒なら
縄張り争いしなければいいのに。」
「ああ、ノボルとトウコのことか。
あいつら、特級の巧断が憑いているからってやりたい放題しやがって。」
「へぇ、じゃあ警察からは悪い奴として認識されているのか?」
「ああ、そうだよ。
必要最低限のルールは守っているがな。」
「2人だけなんですか?
縄張りを巡って争っているのは。」
「昔はトウヤが居てくれたからなぁ………。」
「トウヤ?」
「ああ、トウコの双子の兄貴さ。特級の巧断を持っていたんだが、急に行方知らずになってな………。
ノボルとトウコとトウヤの3人は幼馴染でな。
意見が対立する2人をトウヤがいつも宥めていたんだ。」
「………なるほどなぁ。
1つ聞きたいんだが、最近巧断が消失しているんだって?」
「………ああ、そうさ。
トウヤが行方知らずになってから、起きるようになってな。
最初は4級の巧断から消えてな、今じゃ3級も消え始めているんだ。
巧断は階級があがるほど、心の強い持ち主になるから特級や1級が消えることはないんだが………。
言うなれば巧断は一心同体、自分の分身みたいなものだからな。
急に消失したら不安定になるのも無理はないよ。」

「……消失した巧断は戻ってこないんですか?」

「今のところは聞かないねぇ。」
「…………そうか。」


「ほい、お好み焼きができたよ。熱いから気をつけな。」

「ありがとうございます、おじ様。」


店員がカウンターに戻った後、3人はお好み焼きを頬張りながら今後どうするかを考えた。
「………あの2人が幼馴染だってのは驚いたな。」
「トウヤという人間が行方知らずになってから、巧断の消失が始まった………。
グレーゾーンというか、怪しさ満載だな。」
「そうですね……………。」

「…………何を思って急にトウヤは消えたんだろうな。」


続く。