ファッションショーの開始時刻になり、BGMが流れた。
耳をつんざくような音量の曲が流れるなか、ランウェイをモデル達が歩く。
スポットライトを浴びながら、綾人達は慣れた様子でポーズを決める。

ペンライトの光が、ウェーブのように広がり、歓声があがる。

トリを務める芳樹と満月がステージに立つと、歓声がより一層あがった。

「芳樹さーん!」
「満月ちゃん!!」

歓声があがるなか、芳樹と満月はランウェイを歩き、ポーズを決めた。
すかさず芳樹が満月の額にキスを落とすと、黄色い歓声があがった。

「よ、芳樹さん!?」
「はっはっは、リップサービス、リップサービス!」

顔を真っ赤にする満月をよそに芳樹は彼女の手を握ると、踵を返した。

ぷんすかと怒った満月であったが、満更でもなかったらしい。

スペシャルゲストとして、欅坂愛歌が呼ばれ、ライブを行い、
名物アナウンサーによるMCは無事に進行し、ショーは無事に閉幕した。


「………いやあ、芳樹。やるなあ。」
「まあ、あれぐらいはしないとね。俺と満月ちゃんの仲だからいいけど。」
「まったくもう………予定にないことしないでくださいよね、芳樹さん。」
「はっはっは。」

「………………。」
「…………ああ、満月ちゃん。拗ねないで!」
「………芳樹さんなんて知りません。」

「これは参ったな、お姫様の御機嫌取りは難しいぞ。」


「……………罰としてサーティワンのアイスが食べたいです、芳樹さん。」
「OK、それでお姫様の機嫌が直るのなら。」
「満月、食べすぎはほどほどにしておきなさい。
お腹を冷やしたらくだしますよ。」
「大丈夫ですよー、だ。お腹を下しても、この土日は学校がないからゆっくり休めます!」




続く。