何軒かの服屋を見回った後、芳樹達はカフェで一休みをすることにした。
「………うわあ、本物の綾人さんに芳樹さんに満月ちゃんだ………。」
「………美穂さん、羨ましいなぁ………。
良い旦那さんと子供達に恵まれるなんて………。」
「いらっしゃいませー、ご注文はいかがなさいますか?」
「この恋人パフェというのを頼みます。」
「俺達も同じもので。」
「はい、かしこまりました。」
店自慢の恋人パフェを注文し、4人は談笑した。
「………お待たせしました、当店自慢の恋人パフェでございます。」
「わぁ、美味しそう………。」
「ホント、インスタ映えしそうなパフェね。」
「はい、満月ちゃん。あーん。」
「は、はい………。」
芳樹から受け取ったスプーンを口に入れ、満月はほわほわとした笑顔を見せた。
「はい、貴方も。」
「ああ、ありがとう。」
美穂か受け取ったスプーンを口に入れ、綾人はパフェを堪能した。
「う、羨ましい………。」
「すみません、私達も同じものを!」
「こっちも同じモノをお願いします!」
他のカップル達は、綾人達を羨ましがり、同じ商品を注文した。
「…………今日、売り上げ数が凄いことになりますねぇ。恋人パフェ。」
「………まあ、良い宣伝になったのではないか?」
「…………だね。」
続く。
「………ねぇ、あれって綾人さんじゃない?それに芳樹さんと満月ちゃんも!」
「………え、ホント!?」
「うわあ、本物見られるなんて超ラッキー!」
「今日はWデートなのかな?」
桜庭市にある商店街を歩いている4人は通行人に何度も振り返られた。
「今日はどう過ごす?」
「ウィンドウショッピングも悪くないわね………何処かカフェに行ったりして、
それでもって、夜景とか見られたらそれで充分よ。」
「そうですねぇ………。」
「満月ちゃんも義姉さんもロマンティックだなぁ。」
「良いじゃないか、ロマンティックなところがあって可愛いと思うが。」
「…………だな。」
「となると、最初はブディックに行くか。」
「そうだな。」
芳樹と綾人は満月と美穂を連れ、何軒も服屋を回った。
試着する美穂と満月に鼻血を吹き出しながらも、綾人と芳樹はカメラに収めた。
「…………若旦那様、綾人様。血を吹き出すのはどうかと………。」
「…………物吉、聞く耳持たんから意味ないと思うぞ。」
「…………うん。」
荷物係として駆り出された物吉の突っ込みに、小狐丸と鳴狐はそう呟いた。
「………でも楽しそうで何よりだな。」
「そうですねぇ。」
「………ホント。ここ最近、忙しかったから。」
続く。
「旦那様、奥様。
和泉守さんと堀川さんがアサシンのサーヴァントと交戦しています。」
「………なるほど、早速現れたか。」
「アサシンとなるとやっぱりハサン・サッバーハですかね。」
「………白い髑髏の仮面………うん、ハサン・サッバーハだね。
セイバー、和泉守と堀川のところに行ってくれるかな。
俺と満月ちゃんはアサシンのマスターを探すよ。」
「……はい、わかりました。
くれぐれもお気をつけて。」
「大丈夫ですよ、僕がついていますから!」
綿貫家の本邸を後にし、芳樹達は二手に分かれた。
「…………守り刀、ですか。」
「そうだ。表向きは刀の名を襲名したボディーガードだが、
実際は人型の使い魔だ。
先々代の綿貫家当主が生み出した高等魔術だよ。
………そして先々代の姫宮家当主が魔力供給を提供している。」
「それが今もなお、続いているというわけですか。」
「そういうことになるな。」
遠坂邸では久遠と瑠樹が、アサシンと対峙している和泉守と堀川の戦いを見ていた。
「…………ところで瑠樹君、人払いの結界は十分に張っているだろうな?」
「はい、万事抜かりなく。」
「……………ならば、王の中の王に行ってもらうとするか。」
「……………そう、ですね。」
桜庭市内の公園に移動した和泉守と堀川はアサシンと交戦をしていた。
「…………ったく、同じ使い魔だって言うのにこうも差が出るなんてな……。」
「…………でも正々堂々とした戦いは苦手だから、このまま押し切れば何とかなるよ、兼さん。」
「……………だな。」
和泉守が柄を握った時、大きな叫び声がした。
「………何だ!?」
「新手!?」
続く。