「小鳥遊さん、おはよー。」
「おはよー。」

次の日、小狐丸を連れて咲良は学校に登校した。
案の定、彼は他の人間には視えていないらしく、ひとまずは安心した。

「(これで何もなければ今まで通りと何ら変わりない生活を送れるはずなんだけどなー…………。)」

「おい、見ろよ。また霊感女が来ているぜ。」
「どーせ、嘘つきなんじゃないのか?」
「ちょっとアンタ達、そんなことを言うのやめなさいよ!」
「そうよそうよ、嘘つきとか言ったら失礼じゃない!」
「小鳥遊さんは頭がお花畑だけど!」
「ちょっとちょっと、お花畑にはなっていないから!」

男子達の陰口に対抗する同級生に咲良は突っ込みを入れた。
毎度毎度こんな感じで、女子と男子が対立しているのだ。

まぁ、だからと言って親が首を突っ込んできたことは1度もないのだが。

「…………………小狐丸、子供の言うことだからね?いちいち突っかからないでね?」
「ええ、わかっていますとも。」
「…………ホントにわかっている?」
ジト目で小狐丸を見ると彼は明後日の方向を向いた。
「(ホントに大丈夫かなぁ……………。)」



給食の時間が終わり、お昼休みの時間に差し掛かった頃、全校集会が開かれた。
「えー、最近、通り魔が出没しているらしく、
えー、しばらくの間、保護者の皆さんに登下校についてもらうように……………。
隣の地区では斬りつけ被害に遭った子もいますので、
警察や地域パトロール隊の方の協力の元、警戒を強めますので…………。」


校長の話を聞いていた咲良は違和感を感じ、キョロキョロと周囲を見回した。

「どうしたの?小鳥遊さん。」
「………ちょっと、嫌な予感がして……………。」

咲良が頭上を見上げると同時に、空間に歪みが現れた。

「………………え?」




続く。