とてとて、とフローリングの床を私ことキティは歩いていた。

「あ、キティ。おはよう。」

ご主人様である満月さんに声をかけられて私はみゃぁ、と鳴いた。

私はノルウェージャンフォレストキャットという種類の猫で、
元々捨て猫として保護されていたところをちょうどペットが飼いたいと思っていた
芳樹さんと満月さんに貰われた。

綿貫家での生活はほんとにのんびりとしたもので、
ご飯は美味しいし、2人や守り刀の世話はとても丁重で心地良い。

満月さんの歩調に合わせて私は歩く。

幼少期は病弱だったという彼女は今でもたまに季節の変わり目になると寝込んでしまう。
そういう時、私は傍によるのだ。

ちょっと顔を見てみると、何だか調子が悪そう。大丈夫かしら?


「……なぁに、キティ。心配してくれてるの?」

満月さんの問いに私はみゃぁ、と鳴いて足に擦り寄った。

「キティは優しいのね。」

当然。私は芳樹さんと満月さんのことが好きなんだから。
2人に貰われなかったら、保護施設のところにいたままだったかもしれないもの。

「ああ、満月ちゃん。おはよう。それにキティも。」

ご主人様、おはようと私はみゃぁと鳴いた。

人間との意思疎通はできないけれど、人間の言葉は理解できる。

私はここにきて幸せだ。

「……………そろそろ、手入れをしないといけないかもなぁ。」
「そうですね。」


ご主人様の手入れはとても気持ちがいい。満月さんと2人で協力してやってくれるから、なおさら。

ごろごろと鳴く私の首を芳樹さんは撫でた。


「キティは良い子だね。これからもよろしく頼むよ。」

ええ、こちらこそ喜んで。



終わり。