「…………これはこれは。」

姫宮邸で綾人は食堂で新聞を広げていた。


「お父さん、どうしたの?」
「芳樹と満月のコンサートが記事になっているんだ。」
「わあ、そうなの?凄いねぇ。」

「…………はい、貴方。」

目の前に朝食が置かれ、綾人は美穂にありがとう、と言って新聞をたたんだ。

「さて、それじゃあ食べるとしましょうか。」
「はーい。」

いただきます、と声をそろえて綾人達は朝食を口にする。

「今日は非番だったな、小狐丸。」
「はい、仕事も入っておりません故。のんびりと過ごすことができます。」
「いいわね、だったら今日は私の買い物に付き合って貰おうかしら。」
「そうだな。たまには悪くはないだろう。」
ニコニコと笑い合う両親を見て美花達はにっこりと微笑んだ。


美花、美風、美鳥、美月の4人を小学校と幼稚園に送った後、
美穂はルンルン気分で洋服を選んでいた。

「万年新婚夫婦と言ったところですな、旦那様と奥様は。」
「何とでも言ってくれ。満月の参考になりたいんだ。」

「………とんだシスコン野郎ですね。」
「何とでも言ってくれ。」

「………旦那様、お嬢様から電話。」

鳴狐の連絡に綾人はぱぁぁと喜びの表情を見せた。

「どうした、満月。こんな朝早くから電話をかけてきて。………ん?
今日の予定は空いているかって?もちろんだとも。
ああ、美穂にも聞いてみるから。」


「あら、貴方。満月ちゃんから電話?」
「今日の予定は空いているかと聞いてきたんだ。」
「もちろん空いているわよ、何?Wデート?」
「………ああ、そうらしい。」

「なら、一緒に出掛けましょうよ。」
「決まりだな。」




続く。