「んじゃあ、お姫様。採血するんでプスッと刺しますね。」
「はぁい。」

「………採血?」
「お姫様には多少、G細胞が混ざっているんですよ。
モスラの力で安定しているとはいえ、いつ何処で暴走するかわかりませんからね。
リアタイで薬の処方を変えているんです。」

「G細胞?」
「ゴジラ細胞のことよ。遺伝子の宝庫とも呼ばれているわ。
正しく使えば、再生医療を飛躍的に上昇させることができるの。
………でもゴジラ以外、G細胞を完全にコントロールするのは難しいのよ。」
「………そんな物騒なものが深愛の中にあるの?」

「怪我を負っても、毎回病院に行くことのないようにってことで受精卵に組み込まれたのよね。
まあ、G細胞と言っても、ホントに微量だから。
私で成功するまでに何千回、何万回も繰り返し実験したそうよ。」

「うわぁ……………頭が痛くなりそう。」

蒼氷に採血され、深愛は涼子に話をした。澪はげんなりとした様子で彼女の話を聞いている。

「さて、と。G細胞が暴走したことはないんですよね?」
「まぁね。おかげ様で。」
「こればかりは定期的に診ておかないと、何がきっかけでスイッチが入るか
わかりませんからね。
くれぐれもバトラになることだけはやめてくださいよ。」
「バトラにはならないよ、何が何でも。」
「………バトラ?」


「バトルモスラの略だよ。
守護を目的としているモスラと対を成す黒いモスラで攻撃を目的としているの。
攻撃力が高いんだけど、耐久性がイマイチで防御力が低下しているからね。
おまけにコントロールがなかなか効かないし………。」
「そうなの?」
「うん。モスラは防御力とか高いし、技の種類も汎用性がある。
だから、戦う時はモスラを主流としているんだけど…………。」


「バトラは絶対ダメ、何があっても!」
「私も反対だわ。バトラにだけは変身しないで!」

「う、うん………もちろんだよ……………そんな切羽詰まった顔で言わなくても………。」

「言うわよ、そりゃ!」
「攻撃力高い割に防御力が低下しているんだったら、一撃で倒れるじゃない!
そりゃ、バトラに変身したらダメって言うのは当たり前よ!?」


「良かったですね、お姫様、なかなか愉快なお友達ができて。」



続く。