…………この世に偶然はない。あるのは必然だけ。
その日、芳樹、満月、智久の3人は桜庭市から移動して、都内某所にある次元の魔女の店にいた。
「………かの高名な次元の魔女から仕事を依頼されるとは身に余る光栄だな。」
「引き受けてくれたからこそ、ここにいるんでしょう?貴方達は。」
「………まぁ、対価を支払う代わりに何でも願いを叶える店ですからね、ここは。」
「…………………対価は必要よ。無償の奇跡なんて、この世には存在しないもの。」
「確かにそれは一理あるな。有償の奇跡はよく聞くが。」
「…………それで、侑子さんの依頼は。」
「……貴方達3人には夏休みの間、行ってもらいたい世界があるの。
巧断がいる世界、阪神共和国に。」
「………目的は。」
「……………八百万の神とも呼ばれる巧断の力を悪用する何かを発見して、排除すること。
それが貴方達に依頼する仕事。」
「…………ま俺達でなければ、できない仕事だな。
対価はそうだな、ここで宴会でもやるか。」
「そういうの、嫌いじゃないわ。」
「俺達の関係性を不変不滅のモノにするのは難しいからな。
それこそ因果律を変えなければならないほどに。」
「………ええ、そうね。」
「上等な酒と肴は用意してやるよ、満月ちゃんの舞は素晴らしいからな。」
「………私が踊るんですか…………。」
「いいわねぇ、貴方達が帰ってきてからの楽しみにするわ。」
ニコニコと笑う侑子に満月はため息をついた。
「………じゃあ、準備は良いかしら。」
「もちろん。いつでも行けるぜ。な、芳樹。」
「ああ。満月ちゃんは大丈夫?」
「はい。私は大丈夫です。」
3人の足元に魔法陣が広がる。魔法陣から溢れた光が3人を包み、跡形もなく消え去った。
続く。