(Θ_D;)(◎△◎*)5×6!
【檜扇と射干玉】の続き♪
六郎が兄達の元に行き融合の術に加わったのは、七郎が次期当主に選ばれた後の事だと思うので、これは六郎が14歳以上の設定。扇兄弟はみんな7歳違いという妄想設定
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【檜扇と射干玉の夜】
扇邸の地下に、擬似的な羊水で満たした水槽があった。今は見えないが暗い水面の底に、四つの、赤黒く巨大な肉塊が沈んでいる。それらは全て、五郎の実の兄達だった。五郎達は自らの体を融合させる為に、特殊な術で体を改造している。
五郎はこの『融合の間』を『肉風呂』と呼んでいた。
つい先ほど、この場所で五郎の留守中に弟の六郎が、肉塊状態の一郎達に手込めにされていたのだ。
融合の術は自らの肉体を未分化の胎児として、細胞同士を融合させ、六個の個体を一個の個体へと形成させる術である。
その為、肉塊状態の時は精神が動物に近くなり、衝動の抑制が利きにくい状態にある。
この術で肉体を改造して長い、一郎や二郎、三郎や四郎達は、五郎よりもその影響が強いらしい。
しかも、
「ちっ、……まさか、満月の影響もあるのか?」
五郎は煌々と輝く今宵の満月を思い出して苦々しく言った。
動物に近いとはいえ、シャレにならない。こんな事で長年をかけた術の要を台無しにするなど、信じられない。
いや、まだ崩れてはいない。
六郎の状態次第だ。
六郎の精神が崩れたり、この性的な暴行の所為で、一郎達、兄達を恐れ、受け入れられなくなってしまえば、融合の術の強化には使えない。
六郎にはどうあっても肉体的な融合と共に、精神的な融合が求められた。
理性が戻った一郎も、流石に事の不味さに気付いた。
そして、自分達が怯えさせてしまった六郎の全てを、唯一、その輪に加わらなかった五郎に任せる事にした。
そんな、丸投げされてもなぁ…
五郎は一人床に横たわったままの六郎を、床に散らばった六郎の着物や帯で、手早く包むと地下の肉風呂を後にした。
裸の六郎を、屋敷に仕える者の目に曝すのは避けたかった。適当でも衣服ぐらい身に着けていれば、体調不良とでもしておけばいい。
……実際、六郎が何をされているか知れたところで、この屋敷で一郎に意見をする者など居ないのだが。
抱き上げた体は軽い。
長身の五郎には、この小柄な弟の体など、苦もなく両腕で抱えて運べる。
………意識はある。
肉風呂で衣服を羽織らせている最中に、六郎が五郎の着せている着物の袖に自分から手を通すように動いていた。
しかし、言葉は無く、五郎の動作に促されるまま、大人しく従っているだけだった。
『人形のように大人しかった』
いや、
『人形よりも大人しい』だったか……。
六郎を抱いた兄達の中で、あれは確か三郎が言っていた。
『泣き声も挙げなくなった。こいつの体で、触っていない所なんてない。どこをつつけば、声を挙げるか、試してみないか』
そんな事を確か兄達は興奮気味に充血し、笑いながら言っていた。
……それでは困るのだ。
六郎が完全に心を閉ざした状態では、困るのは自分達なのだ。済んでしまった事とはいえ、笑えない。
………だが、多分それは大丈夫だろう。恐らく、そこまで六郎は、まだ達してはいない。
小刻みに震えながらも、六郎の手は五郎の服を掴み、顔は隠しているが、五郎の胸にしっかりと顔をうずめてくるのが五郎にはわかった。
こいつは、今、俺の胸で、俺に抱かれて、ホッとしている。
『助かった』と思っている。
『助かった』『助けられた』『安心だ』………『五郎兄さんが助けてくれた』
―――――そこに付け入る。
五郎は六郎の体を運びながら、自分がするべき手順を静かに思考した。
六郎はしばらく五郎の部屋で、預かる事にした。
一緒に住む兄弟達の中で、五郎の部屋だけはベッドなのだ。このままベッドに寝かすのを躊躇うほどに、六郎の体はべったりと汚れすぎている。
あらゆる液体が付着して、―――五郎が六郎に着物を着せてから抱き上げたのも、その為だった。
これは一度風呂に入れて汚れを落とさねば。
………あんな事があった後なので六郎が怖がるといけない。五郎は、六郎だけ着物を脱がせ、風呂に入れた。
六郎の着替えは洗ってある五郎の寝間着用の浴衣でもいいだろう。
六郎は、五郎のされるままに、嫌がりもせず、黙って洗われていた。手際よくただ『作業』といった感じで五郎は、六郎の全身を洗ってやった。
堅い籠手は、素肌を傷つけるし、濡れてしまうので、そこだけは外している。白い髪をシャンプーで泡立てる。
石鹸やシャンプーの香りは幾分六郎を落ち着かせるだろう。
そう思いながら、五郎はさり気なく六郎の体の状態を確かめていた。傷の状態を確認した。
痣、傷、………傷つけられた場所はないか。あまりひどい傷があれば六郎が嫌がっても、医療班に診せなければならない。
………、思ったよりひどくはない。
これなら通常の外用薬で何とかなる。
首筋や肩、胸、腰、太腿……咬み痕や吸い痕が多い。でも、これも時期に消える。
手首、二の腕、肩、……それに両脚も強く捕まえられていたのか、……くっきりと赤い痣が手の形をしている。指の痕までわかるぐらいだ。
肉塊状態で交わったと言うより、人型で六郎を捕まえているうちに理性が飛んで兄達は肉塊の姿に崩れてしまったのだろう、と五郎は経緯を推測した。
放心状態の六郎にシャワーで、身を清めさせた。
「これは『作業』だから、大人しくしていれば、短時間で終わる。我慢していろ。」
我ながら、無茶な言い草だ。
六郎の返事も聞かず、『作業』に取り掛かる。やらなければならない。
『作業』は、とっととやってしまおう。
六郎が慌てる間もなく、抵抗する気を起こさせる前に、進めてしまえばこっちのものだ。
五郎は六郎の返事など待つ気も無く、六郎の体に触ったのだが、
六郎は五郎の言葉に、すぐに小さな頷きを返し、五郎の手に身を任せていた。
…………五郎は、六郎の中に溜まっていたものを、小さな孔から掻き出していた。それを、六郎は震えながら、苦痛に息を呑みながら、耐えていた。
……大人しくしていれば、兄さんは、すぐ終わると言っていたから。あと、少しで終わるはずだから、…………。
五郎は、六郎が泣いている事も知っていた。
ウッ、ウッと、声を詰まらせて、恥ずかしさや痛みを堪えてじっとしている。
さっき洗い流したはずの、六郎に最後にシャワーを頭から長めにかけたのは、六郎の涙が止まるのを待っていたからだ。
……こいつは、もっと存分に泣いてもいいはずなのに、そういう事を隠したがる。
五郎は冷静だった。心は静かに次にやる事を考え、淡々と機械的に手を動かす。
タオルで水気を拭き取り、短時間で薬を塗る。傷の状態や箇所はさっき、洗いながら記憶した。なるべく、裸のままの六郎の姿に目を留めないよってにする。
浴衣を着せ、きちんと帯で止めた。
ひらりと抱き上げ、
今度こそ、綺麗になった六郎の体をベッドに降ろした。
『作業』はこれで、終わった。……疲れた。精神的に、これはクる。
俺は、
夜遅く帰宅直後に、兄達が弟を陵辱している現場に遭遇し、それをなんとか止めさせ、
弟の体を抱いて運び、着替えを用意して、弟を風呂に入れ、
兄達がやらかした処理をして、傷の手当てをして、着替えさせ、……たった今、こいつをベッドまで運んだ。
今やっと、一息つけた。今日はもう、何もしたくない。
それは、六郎も同じなのだろう。
………『これで、やっと眠れる。疲れた。』
そういう感じでカブトムシの幼虫みたいにもそもそと、布団の中に入っていく。
蒼白に近かった六郎の肌にも、柔らかな赤みが戻ってきている。
俺も寝たい。
五郎もごろんと、ベッドに身を投げ出した。
五郎のベッドは、五郎の誕生日に父の二蔵が贈ったものだ。
女の子が憧れるような『お姫様のベッド』が五郎のいつも使っている寝床なのだ……。
何を考えたか、あの父親、息子の誕生日にアンティークの天蓋付きのキングサイズを買って寄越したのだ。五郎一人で寝るには十分すぎる大きさで、喜んだのは五郎よりも、まだ小さかった下の二人の弟達だった。
しかし、使ってみると寝心地は五郎も気に入った。だから、実家を出て兄達の所へ引っ越す時も、このどデカいベッドだけは、わざわざ五郎自ら持ち込んだのだ。
五郎の持ち込んだベッドの所為で、一見純和風に見える扇邸は、一室だけ天井の高い洋室に改装してある。
兄達は、実家の洋館を思い出すのが嫌なのか、五郎の部屋にはあまり立ち入ろうとしないが、六郎はそれを懐かしむように五郎の部屋を好んで訪れていた。
と、………大きさは五郎と六郎が二人で寝ても、悠々とした広さがあるのだが。
兄達に手を出された六郎が緊張して、落ち着いて寝られないようなら、自分は別の所で寝た方がいいだろう。
基本的に、五郎は何処でも寝られる自信がある。特に、今日は何処でもいいから、眠ってしまいたい。
……部屋の隅のソファーでもいいか。
五郎が身を起こし、ベッドから起き上がろうとした時、
六郎が五郎の羽織りの端にそっと手を置いてきた。
五郎の近くに寄ると、ゆっくりと五郎の下肢に手を伸ばす。
五郎は、六郎の行動に正直言って驚いた。六郎は、意識を取り戻しても、五郎に身を預けたきりで、自分から嫌がる事もせず、されるままに流されていた。それが、自分から兄に近づき、何かしらの自発的な行動をとろうとしているのだ。
五郎はこのまま、六郎のする事、したいようにさせてみようと思った。
振り払えば、
六郎の手を握ってそれを止めてしまえば…、六郎はきっと、それを止めてしまう。
六郎は、やはり兄達と同じように男性である五郎にも怯えていたのだ。湯上がりで寒くないはずなのに、指先が震えていた。
それが、おずおずと五郎の腿に触れる。そして、
(………う。
おい、六郎。どこを触ってやがる)
五郎の性器にあたる部分を、服の上から触っていた。
兄達の陵辱をその身に受けたのだ。六郎はそれが、どのようなものか、既に知っている。
それが自分の体に深く潜り込み、中を抉られる恐怖も知っている。恐ろしかったに違いない。
しかし、
六郎は五郎のそれの、柔らかさに安堵した。
(……やわらかい。
……五郎兄さんのは、あの時の……他の兄さん達みたいに、かたくない。
………かたくて、いたくて、………こわかった。
……五郎兄さん、…兄さんのは、やわらかい。
よかった。俺に…あんな事、しないんだ。
…あたたかい。
…………今日は、兄さんの…、そばで寝かせて…………)
五郎は微動だにしなかった。六郎のそれは、愛撫と呼ぶにはつたない。
そんな未熟な手付きで、ただ弟に股間を触られているというだけで、易々と勃起させられてたまるかよ。俺はそんなに、単純な構造はしてねぇ。
六郎は五郎の隣りで眠ってしまった。そんな呑気な六郎に呆れながら、赤い痣だらけにされた浴衣から覗く首筋を見ながら――――
ふと、
自分も随分、焦っていた事に五郎は気付いた。
―――六郎の浴衣の下の事だ。
………六郎に下着を身に付けさせられるのを、すっかり忘れていた。
動揺する事なく、淀みなく、冷酷なくらいに冷静でありたい。
………そう思い、『作業』を完遂する事に集中していたつもりでいたのに、
自分も、とても平常心ではいられなかったようだ。
六郎の傷つけられた体を見てしまい、
一刻も早く、その痛々しい姿を自分の心の目の前から、全て隠してしまいたくて、
………五郎は、自分でも気付かないほど、焦っていたのだ。
六郎は、五郎の暖かさに寝心地の良さを求めて、寄り添って眠る。
眠りの中の忘却と安息が、六郎のささやかな救済であればいい。
今夜は、ただ柔らかな眠りを求めている。
それは、五郎も同じだった。
………今日はただ、手を握って眠る。
明るい月が、白く美しい夜だった。