夏彦の棚に夏彦詰め終えて 隙間まだあり 登美彦詰める
2021-11-7 12:39
あの秋に集め帰りし団栗は皆消え失せて 吾ばかり 今
2021-11-7 12:38
題詠「鶏」
二十五時 電子レンジで湯気を吐く サラダチキンよ 汝に罪無し
題詠「ベーコン」
長きもの 長いままでは いられない
切られたり縮んだり ベーコンみたいに
題詠「羊」
毛糸編む きっと銀河の真ん中は
ひつじのつむじのようなうずまき
題詠「ソーセージ」
ソーセージ 湯の中でごろごろもがく
今世の仏は ゴム箸を使う
題詠「牛」
表面をさっと炙って
生き物のいのちの赤を薄らげて喰う
2021-10-28 22:58
生ハムとハムの違いを考える 生のかたちはいびつで自由
2021-10-28 22:05
生後数日の赤子に
生後数日の叔母(しゅくぼ)は
なす術も無く
母共のみな眠り果て 吾ばかりが紅茶片手に歌もてあそぶ
つま先の爪まで赤く 嬰児の声は血潮の渦巻くが如し
ほんとうに おぎゃあおぎゃあと児等は泣く
桃も流せば どんぶらこと鳴る
2021-10-28 21:37
本当なら何万字でも良いそれを 三十一文字に削る僕らは
2021-10-26 01:32
「丁寧に暮らす女性」の死を看取り ツナマヨごはんに海苔巻いて食う
2021-10-23 19:31
咳続く隣の老爺を窓越しに見やる時吾は夜叉の眼をして
2021-10-23 19:30
訳ありの林檎に訳は聞かないで傷ごと剥いてあげるやさしさ
2021-10-22 00:47
もうここは白髪の毛穴 ああここも白髪の毛穴 いずれすべてが
2021-10-21 23:47
焼き鳥の香が猛毒であるごとく 背き逃げ帰る禍中の吾は
2021-10-21 23:44
お湯はあと何分で沸く 蓋裏の猫のおじぎはぺこぺこと鳴り
2021-10-21 23:42
誰にも話すなと祖母は云う 枯れ井戸の 冬の正午にのみ見える骨
2021-10-19 23:09