話題:本の感想
三浦しをんさんの『きみはポラリス』を読みました。
恋愛をテーマにした短編集で、それぞれのお話に色とりどりの恋愛が散りばめられている恋愛小説です。
わたしはあまり恋愛小説は得意でなく、避ける傾向にありました。大体の恋愛小説ってお涙頂戴のありきたりな設定なものだと(偏見です)、まあ読むのが何故か恥ずかしいというのもあり、あとひどく疲れるので有川浩さんの『レインツリーの国』以来でした。
そも、わたしは気に入った作者さんの本ばかり読むくせがついており、なかなか他の作者さんの本を読む気にはなりませんでした。開拓するのがこわいなんて馬鹿みたいですよね。
ああ、すみません。わたしのことばかり語ってしまって。『きみはポラリス』の感想にいきましょう。
追記へ
すべてを読み終わったとき、深く息を吐きました。己れの中に入っていく様々な恋と愛の奔流はあまり馴染めなくはありましたが、充足感が満ちていく不思議な感覚でした。そして、やはり苦手なのでしょうか。少し疲れる。読み続けたせいもあるかもしれません。わたしは今回、三浦しをんさんの本を読むのは二度めです。『まほろ駅前狂騒曲』が一度めです。そのときから三浦さんの色が好きになりました。言い回しや言葉の選び方、心の琴線に触れる以上にぶち切られるんじゃないかという人の心の表現は生々しくもあり、美しくもある。
ああ、うまく言えないのですが、
どのお話も、愛とはなんだろう恋とはなんだろうとわたしは考えさせられ、それは甘くもありに苦くもあり、胸が締め付けられるようでもあり、美しくもあり、醜くもあった。
『私たちがしたこと』
短編集の中にあるひとつのお話
これは王道と云われるような、恋人を救うために人を殺した男と救われてしまった女の話。愛の蜜と罪の蜜を味わえる仄暗さを愛するわたしにはたまらないものでした。『二人の秘密』はいつかふたりが離れてしまっても縛り付ける永遠の鎖。いつか違う誰かを愛し、幸せに人生を終えたとしても深く閉ざされた心に澱む誰にも知られない蜜の味。
『冬の一等星』も好きだなぁ。
とても、綺麗なのです。最初から最後まで読み終わると、幸福なお話ではないのに、ほうっと幸せな気持ちになる。
幼い少女に与えた光は一生消えずに輝き続けるだろうなと。夜の暗闇に光る星みたいに、ずっと。
他の短編集もすべておいしい。
本当にフルコースを味わった気分でした。
長々と実のない感想をつらつらとすみません。本っていいですね。